第11話 11月1日、2日、3日、4日

11月1日 (月)


パパおはよう。

パパ見てほら、ちゃんとトイレにウンコしたよ。お菓子の缶の蓋のトイレだから紙砂が少なくて、なんだか上手く隠せなかったけど。

凄いでしょう。

あれ。そのままにして行っちゃうの? ウンコ処理班なのに〜。

会社に間に合わないのか。

パパ行ってらっしゃ〜い。


しようがないね。あたいでなんとかしとくわ。



ああ、一生懸命、被せてみたけど上手くいかないなあ。ウンコ飛ばしちゃった。

ああ、どうしよう。

ママに怒られるかなあ。


ああ、やっぱり、このままじゃまずいかな。もうちょっとちゃんとしよう。


あれ、あれ、もう一つウンコ飛ばしちゃった。

ああ、もう知らない。この砂の浅さじゃ、無理。

パパ、何とかして。早く帰ってきて。あたいは寝るわ。



「ああ、何これ? ケージの中ウンコまみれ。もう、虐待レベルやん、スピちゃん」

ママごめんなさい。 わざとじゃないよ。

ママに見られちゃった。今度から気をつけます。許して。片付けて下さい。あたいにもウンコ臭いです。



11月2日 ㈫


 ママおはよう。ごめんなさい。今日もウンコ被せるのあんまり上手く行かなかった。


「ぎゃっ、何これ?」


ああ、ごめんなさい。昨日よりはマシかと。

えっ、パパに電話するの? もう、今日はママ処理してくれないの?


「スピちゃんのウンコに虫がいる。どうしよう? アルちゃんたちにも移ってるかも知れない。みんな病院連れていかなきゃ。帰って来れる? 」

ええっ、虫がいるの。マジ? 

ほんとだ、なんか白いのが付いてる。嫌だ、何、あたい、病気なの? 身体なんともないよ。足はまだまだ上手く動かせないけど。


「うん、分かった。じゃ、私ひとりで連れて行く、あれ? アルちゃんが居なくなった」


 病院へ行くのか。分かった。しようがないね。大丈夫かな? アルク兄ちゃん逃げちゃったよ。病院は嫌いなんだって。隠れるって。ママが捜しまわってる。

見つからないみたい。

どこに隠れたんだろうね。忍者みたいなアルク兄ちゃん。


あたいだけ行ってくるね。

ママは、ウンコの画像撮ったり、ウンコを袋に包んだりしている。待って行って見てもらうのね。また、院長先生に会える。さあ、早くあたいのピンクのキャリーに入れて。中にある毛糸の球で遊びたい。あれ、面白いわ。



 院長先生は、画像を見て直ぐに条虫と診断した。注射打たれちゃった。薬飲むより確実なんだって。

二、三日したら条虫は、死んでウンコと共に出てくるって。あたいがケージに入っていたから兄ちゃんたちにも感染しいることはないって。良かったね、アルク兄ちゃん。

ああぁ、それにしてもあたいは、何処から条虫もらったんだろう? あたいの身体、ノミがたくさん居たもんなあ。ノミを介して移ったりするんだって。

でも、早く分かって退治出来て良かった。パパ、しばらく、ウンコ注意して見ておいてね。長~いのが出るかもよ。キャー、いやだ。



11月3日 (水)


 パパおはよう

パパ今日も仕事なのねー。

文化の日とかいう祝日じゃない?

給料安いのに頑張るのね、お疲れ様。


アルク兄ちゃんもおはよう。

ソファにどっしり座って人間みたいね。貫禄ある〜。伊達に太ってないのね。

兄ちゃん見て見て。トイレ、ちゃんとした深いやつに変えてもらって、ちゃんとオシッコ出来たよ。

完璧に被せることも出来た。

ママにもお利口さんって褒められたよ。

アルク兄ちゃんは、ウンコもオシッコもちゃんと隠さないで、やりっぱなしだからルーク兄ちゃんが代わりに被せてくれてるんだよね。ママが言ってた。だらしないね。ルーク兄ちゃん、面倒見が良いのね。男同士なのにね。仲もとっても良いのね。羨ましい。あたいともここを出られたら仲良くしてね。まだ出られないのかなあ? 早く出たいな。もう歩けるのに。



11月4日 (木)


 何? 何すんの、アルク兄ちゃん。ケージ壊さないで。扉もロックしてあるし、ダメよ。

そっか、あたいのご飯が食べたいのね。食いしん坊ね。ダメだって。アルク兄ちゃん、立っても大きいのね、デカ~。


あー、もう、柵を登ってスピちゃん猫パンチ。どうだ? 足がダメな分、手や腕は発達したんだからね。効いたでしよう、あたいのパンチ、負けないわよ。ケージから離れて。


箱入り娘なんだからね、あたい。

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