(二)-5

 恵美里は家出をした。一年くらい前だった。

 母親の藤森和佳子が付き合っている男性が、二年前にうちに住むようになった。長池拓哉という名前で、酒を飲んでは暴れる男だった。仕事はしていなかった。代わりに和佳子が飲食店や風俗店を掛け持ちして生活費を稼いでいた。

 ある日、母と長池が些細なことからケンカをした。母はその後すぐに仕事に行ってしまった。直後、学校が休みで家にいた恵美里は、怒りが収まらない長池に、母親の代わりに殴られた。何度も、何度も。

 恵美里はすぐに家を出て、友人の家を頼った。


(続く)

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