社会人マインド

第1話 非正規雇用でもいい

　社会人になって半年程経った。日々成長と後悔がミルフィーユのように重なり、怖い上司と優しい上司に挟まれて今も生きている。

　私はイベントの設営やテレビの撮影などに携わる仕事をしている。どちらも肉体と精神に鞭を打ちながら働く。これが自分が金を貰う為のやり方なのだから仕方ないのだ。

　大学生という甘い蜜吸い続ける生活が終わり、知名度低い大学卒の新人を雇ってくれた会社には頭が上がらない。部署に配属されパソコンも渡されて社内規約も重い瞼を無理やり開けて読んだ。ワードもエクセルも完璧に使える、資格を取ったからね。しかし何も出来ない。なぜなら会社仕様のシステムだから普通とは違うからだ。例えばシステムの設定も日報を作るということも全てが会社の常識であり新卒の社会人経験の無い私には理解ができないことが多すぎるのだ。しかし怖い部長や専務に頭を下げて分からないなどと言ってしまえば

「こんな初歩的なことも分からないのか」

「少しは自分で考えろ」

と言われる始末だ。

　思えば、会社の常識を社会の常識と長年の経験のせいで思い込んでしまったが故に新人に厳しく当たる風潮がうちの会社以外にもあると思っている。うちの会社にはアルバイトの人がいるがその人はパソコンを使わなくていいらしいスマホで日報を写真を送ったりすれば良いという緩いルールとなっているからだ。正規雇用者と非正規雇用者の違いを肌で感じながらまた私は怒られた後に成長するミルフィーユを段々と重ねているのだ。