第2話

 今週は2話同時に公開しましたので、ご注意下さい。

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 数日後、俺たちは春に通い始める大学へと訪れていた。必要な手続きをするためだ。

 

 「これで一通り終わったけど、この後どうするんだ?」


 「どっか寄る?」


 「別に寄るとこないし、帰ろうぜ」


 「そうね」


 俺たちが通い始める大学は、俺の家から約30分かかるところにある。なので一応通いやすい部類には入るんだと思う。


 「……帰ったら運動しなきゃなぁ」


 「新谷くん、そんなに太ってないでしょう?」


 「いやでもさ……早いうちから運動習慣をつけないとって言ってるじゃん?」


 「……確かに。じゃあ私もやるわ」


 「じゃあ一緒にやろうぜ。やる時は連絡するから」


 「分かったわ」


 俺たちはその足で近くのカフェに寄り、少し休憩をすることにした。店に入ると全体的に落ち着いた雰囲気で、人もあまりいなかった。

 俺たちは近くの席に座って、俺はコーヒーを、沙耶香はカフェラテを注文した。


 「もう大学生か……」


 「何か早いよね。時間経つのが」


 「そうだな〜」


 「大学入ったら何したい?」


 「遊びたい」


 「春休みに沢山遊んだじゃん」


 「まだ足りない」


 「そしたら留年しちゃうよ?留年したら一緒の授業受けれなくなっちゃうかもしれないんだからね?」


 「うっ……」


 そうだった。大学には留年があるんだった。高校ではそう言うのがなかったから頭から抜けていた。


 「面倒くせえな…」


 「絶対宿題とか見して〜とか言ってきそう」


 それは大学に入ったら実際起きるのだが、この時の俺たちはまだ知らなかった。


 「それは流石に無い」


 「そう?ならいいけど」


 ……何か不安になってきた。俺の脳裏に沙耶香に助けを乞うシーンが浮かんでくる。何故だ。


 「ねえねえ」


 「ん?」


 気が抜ける空気感に、ぼーっとしていると沙耶香がとんでもない爆弾を落としてきた。


 「いつ同棲するの?」


 「ブフォッ!?」


 思わず飲んでいたコーヒーを吹きそうになった。

 もちろん同棲については考えた事はある。実は既に沙耶香の両親との顔合わせは終わっていて、公認の仲となっていたからだ。

 あの時のお義父さん───佑太の顔は本当に真剣そのもので、俺も覚悟を持って対面したことを覚えている。

 

 「ど、同棲って……」


 「母さんがいつなのかしつこいのよ。だから、早めのうちに決めようと思って」


 「そですか」


 俺たちの婚約にめっちゃ乗り気だったので、なんだか納得できてしまう。て言うか、婚約って早すぎだと思う。


 「まだ結婚しないのかとか、うるさいのよ。私たちはまだ学生なの、母さん忘れてるんじゃ無いのかしら?」


 「忘れてると思う……」


 今度会った時に少し言ってみよう。無駄だと思うけど。

 

 「ま、学生婚でも、それはそれで夢があるけどね」


 「やってる人、偶にいるしな。本当の本当に珍しいけど」


 互いに依存してるんじゃ無いかって言われるほどイチャイチャしてるカップルとかはあり得ると思う。俺は見たことがないけど。


 「やる?学生婚」


 「やるか」


 「えっ!?」


 「嘘だよ」


 「ちょっ!?も〜!!!揶揄ったなぁ!」


 「待って、足蹴るなよ!?」


 「揶揄った罰だよ!」


 「酷っ!?」


 いつのまにか、周りの人達に温かい目で見られていることに気がついた俺たちは揃って顔を赤くした。


 「は、恥ずかしいねこれ」


 「最初はお前が発端だからな」


 「うっ……」


 自覚はあるのか、悔しそうな表情をする彼女。何故悔しがる。違うだろ。可愛いからいいけど。


 「でも、本当に決めなきゃね」


 「大学卒後したらでいいだろ」

 

 「そうだけどさ」


 どうやら沙耶香はどうしても俺と一緒に暮らしたいらしい。でもそれはまだ早いと思う。

 いや、魅力的なものだって言うのは分かるんだけど、やっぱり俺たちはまだ学生だ。そうである以上、行動には気をつけなければならない。


 「でも、今のうちに考えとかないと、後々大変だよ?」


 「うっ……」


 今度はこっちが呻き声を出す羽目になった。そうだよなぁ……考えないといけないのはわかっているんだけどなぁ……


 「……また今度」


 「逃げたか」


 


 


 

 

 

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