第38話
(第三者視点)
大月照史が逮捕され、その後裁判で執行猶予付きで釈放された。しかし彼は前科者として人生を歩まなければならなくなった。その事実に彼は絶望した。
(……何でこんな事に)
一つの動画から彼は瞬く間に転落して行った。
(……全てはあの動画のせいだっ)
彼は自分がしたことを忘れ、全くの見当違いのことをさも正解のように思う。それは篠崎がした現実逃避と同じようなものだった。
そして一人自宅に帰ると、そこには一通の手紙が置いてあった。
その光景に彼はあの時の悲劇を思い出していた。
母がいなくなったあの時と全く同じ。
(嘘だ……父さんまで……嘘だ嘘だ嘘だ)
彼は最悪の想像をする。そして彼は置いてあった手紙を手に取り、そして折ってあった紙を開ける。
「っ!?」
そこにはただ一言。
“手に負えん”
母同様、父も逃げたのだ。息子を見ているとまるで昔の自分を見ているようで怖くなったのだ。父の康弘も息子と似た性格を持っていたために余計そう思ったのだろう。“これはお前だ”、と。そして彼は逃げた。苦しみから逃れるために。それはなんと自己中で、責任能力がないのだろう。しかし息子の照史にはそんなことは知る由もなかった。
「……っ、ふざけんなよ……」
しかし彼はまだ大丈夫だと、たかを括っていた。きっとすぐに戻ってくるだろう、と。そんな考えはすぐに消えることを今の彼はまだ知らなかった。
それから数日が経ち、父親の康弘が遺体で発見されたとニュースで報道されていたのを照史は見た。
「─────は?」
康弘は家を出た後離婚届を出し、親権は自分の物としていた。その上での自殺。
照史は親がいない状態になった。
そして篠崎が発狂していた頃。
照史は遂に持っていた金が底をついた。
「あ、ああ……」
既に限界だった。ガリガリに痩せこけ、全身垢だらけで、目は光を失っていた。更に数日前に水道を止められ、ガス、電気も止められており、真っ暗な部屋でただ寝ているだけの状態が続いていた。
そして寝るといつも同じ夢を見るのだ。
────自分の彼女が寝取られる夢を。
最初は幸せなシーンから始まり、それから急に寝取られているところへといくのだ。それは奇しくも前島新谷が体験した事とよく似ていた。
そして最後に自分を裏切るのだ。それを何度も何度も見る。毎回同じような展開になり、そして最後に絶望する。彼の心は限界だった。
見る度に精神はリセットされ、たとえ結末を知っていようが感じる辛さは変わらない。
寝取る側から寝取られる側へ。それを見ても彼は前島への謝罪の念は出てこなかった。
「なん…………で………お……レが…コンな……メニ………………」
その一言を最後に彼は没した。
没年18歳。
結局彼は最後の最後まで自分の行いのせいだと、自業自得だったと気づく事はなかった。
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以上で大月ざまぁは終了です。
ん?何だって?もっと見たい?
う〜ん………………わかりました!それでは大月ざまぁ没後地獄落編でお会いしましょう!(多分しない……はず?)
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