第34話

 日は流れ、高校三年生が去り、学校には俺たち二年生と一年生だけとなった。しかし、俺の周りにはあまり変化はなかった。それもそうだろう、俺は高三とはあまり関わりはなかったからな。

 また、安元は停学扱いとなり、そのまま退学となったらしい。きっと彼の学歴には高校中退と書かれるだろう。そして犯罪歴有りとも。

 これからの彼の人生はとても厳しいものになるだろう。前科者として強く生きろとしか俺には言えない。と言うかそれ以上言いたくない。関わりたくないこれ以上。


 また、以前よりも俺的には過ごしやすくなっていた。更に言うと、一年の時のクラスメイトが皆白い目で見られている。俺に対して積極的にいじめていたのはそのクラスメイトたちだけだったからな。その時、他のクラスは何も干渉せず、俺に対しては良くも悪くも関心が無かった。中には先生に俺のいじめを言っていた人もいたらしいが、俺の担任だった桃萱先生には伝わらず、そのままもみ消されていた。まあ、桃萱先生は俺のいじめについて既に知っていたのでしっかりと注意はしてくれていたが。


 しかしそれでもクラスメイトの奴らは止まらなかった。桃萱先生は何度も何度も注意したが、うるさい奴らがそれを無視しクラス全体を煽り立てる。そしてまた再開される。そんな感じのが何度も続いた。先生はその度に注意をしてくれていたが、頭が馬鹿すぎて聞く耳を持たなかった。


 そんな感じのことがあり、それを他クラスの人たちは知っていたので、今では俺と元クラスメイトの立場が一年の頃と逆転していた。花本も俺と同じクラスだったが俺と同じように被害者だと言うことが広まっていたので、そう言う奴らとは一緒にされず、今では交友関係も広がっているらしい。

 

 また、学校側も追求されていた。主に保護者から。

 特に安元の逮捕によって露わになった俺のいじめについてだった。校長先生らは保護者からの追求に何も答えられないでいた。そしてそれはすぐに話題を呼び、ネット上ですごく叩かれており、学校の印象は最悪になっていた。それによって校長と教頭は責任をとって辞任したが、その後警察が校長らが賄賂を手に入れていたなど、膨大な犯罪の証拠を見つけ逮捕された。それによって更に学校の印象は下がった。

 まあ唯一の救いと言えば、ネット上で叩かれていたのはあくまで校長らだけが多かったということくらいか。


 とまあ、こんな感じで高二の三学期の最後辺りは慌ただしかった。

 じゃあ、何でこんな過去を振り返ってると言えば───


 「久しぶりね、新谷」


 目の前に篠崎がいるからだ。

 

 (はあ、帰りてえ)


 俺は思わず拳を握って親指を下に向けそうになったのを必死に我慢してそう思うのだった。


  

 

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