第33話
(第三者視点)
安元の逮捕。それは篠崎莉緒に対し重くのしかかっていた。
「クソがあああああああ!!!!!!!!」
親は急な娘の乱心に恐怖し、家を空ける事が多くなっていた。故に今の彼女を止める人はどこにもいなかった。
彼女は自分の感情に従い、いろんなものに当たり散らかす。お陰で彼女の部屋は惨状そのものだ。
(あのゴミが……全く使えないわね……)
そして彼女は冷静になってから、もう一人の協力者がいることを思い出した。
(そうだわ……今こそ元村を使う時よ)
そう決めた彼女は早速彼にメールを送った。
10分後。
「……………遅いわね」
1時間後。
「何で連絡してこないのよあのクズはああああああ!!!!!」
彼女はいつの間にか短気になっており、元村や安元には常に10分以内に返してくるよう命令していたのだ。と言っても元村には何も指示を送ったことはないのだが。
「何で……何でなのよ……私が何をしたって言うのよ……」
そしてとうとう彼女は一人で泣き始めた。
その理由はあまりにも身勝手極まりなかった。彼女は今までしてきたことに対し何も反省をしていなかったのだ。彼女自身の性格故なのか、または彼女自身のプライドのせいなのか。
「そうよ……私は悪くない……安元は勝手に自爆しただけ……元村は最初からいなかったのよ……」
ついに彼女は現実逃避を始めた。それを始めた彼女は止まらなかった。
「そうよ……私は悪くない……きっと新谷に説明すれば協力してくれるはず……今までのことをしっかり謝れば彼も私を見直してくれるはずだわ……」
頭がおかしくなった彼女は妄想に逃げ始める。
人間はこと逃げる事に関しては得意な節がある。特に彼女はそれが顕著だった。
隠された彼女の本質。ついに彼女は妄想に生きる哀れな少女に成り下がったのだった。
ーーーーー
(主人公視点)
「うっ……」
「新谷、どうした?」
「なんか悪寒がした」
「……気をつけろよ」
「……おう」
急に全身を走った悪寒は気がつくとスッと消えていた。一体何だったのだろうか。噂されることは慣れてるからこう言うことは起きないはずなんだが……………怖っ。
「んで、元村、篠崎からきた?」
「ん?きたぞ。なんか学校の様子を報告しろだってさ。どうでもよかったしお前らの言う通りにスルーしといた。あ、もちろん既読はつけてない」
「……なんかそれだけを字面で並べたらいじめてる側のセリフだよな」
「言うな……新谷。これは完全に篠崎の自業自得だから」
「まあ、そうなんだけどさ。正直篠崎なんてどうでも良くなったんだよね。ちょっと仕返しはしたいけど。それでスカッとできたらしたいけど」
「まあ、これが終わったらすぐにでも忘れてしまえ」
「そうだな」
もうすぐで一連の出来事にも終止符を打てる。そう思うとワクワクしたりするのが普通なのだろうが、生憎俺にはそう言うのが浮かんでこなかった。
そしてそれを実感して、また自己嫌悪に陥るのだった。
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