第32話
結果から言おう。真っ黒だったらしい。
俺は連絡をもらってすぐに警察に被害届を出した。証拠となる写真も一応出したので、おそらく受理されると思う。警察の人曰く、後は周辺の監視カメラを確認してから逮捕状を出すらしい。
その後も一応の為に尾行を続けていた神功路から聞いたのだが、安元は普通に篠崎の家に出入りしては嬌声がその度に聞こえてきたとか。猿かよ。
そして一週間後、安元が書類送検され、その後間もなく逮捕された。安元は三年で、丁度受験を終えた辺りで、いくつか合格をもらっていたらしく、今回のことでそれは全部パーになった。
さらに、例の篠崎が不登校になったきっかけの写真は実は安元とヤってた瞬間だったものらしく、そのお陰で学校内の篠崎の印象はさらに悪くなった。前と比べたら本当に下がりすぎだと思う。そして篠崎と連んでいた輩は悉く不登校になっていった。俺に変な告白をしてきた佐山ってやつも不登校になってた。
「まさか安元が逮捕されてこんなに事が動くとは思わなかったな」
幸太郎がしみじみと呟く。
「そうだな。ほとんど自爆だけど」
「自業自得だな、本当に」
うちのクラスは今や学級崩壊に近い形になっている。不登校者多数、そして今までうるさかった奴らが今では端に追いやられている。すごく居心地悪そうだ。
「安元は捕まり、三上は消え、残るはお前だけだな、元村」
「そうだな。そして俺は篠崎を裏切る予定」
今日は俺たち以外に元村もいた。篠崎がいない今、元村もついに自由に動けるようになったのだ。
「後数日のうちにお前に連絡が来るはずだ。お前はそれを無視するんだ」
「おう」
「そしたら新谷に接触を試みるはずだ……とここまでが神功路から言われたやつだな」
「まあ、やけくそになって何も考えずにお前に復縁迫ってくるだろ。俺はここ最近あいつを近くで見て来て思ったんだが……あいつ、何も考えてないぞ」
「どう言うことだ?」
「想像以上の馬鹿だ、と言うことだ」
「……マジか。あ」
「どうした、新谷」
「どうでも良過ぎて忘れてたが、あいつの成績悪かったんだった。それで俺に泣きついてきてたのを今思い出した」
「……うわあ」
「もしかしてこんな作戦みたいなのを考えなくても勝手に自滅してた可能性あったりして……」
「さすがにそれは無いだろ。きっかけはあの写真と例の動画だし」
「そうだな。その後のあいつの行動が馬鹿だっただけだな」
「おい、幸太郎に元村……逃げんな」
「だって……なあ?」
「そう思わないと、俺のスパイとしての仕事が報われないだろ。俺地獄だったんだぞ。俺あいつのこと前から嫌いだったし。俺がやってきた事に意味持たせないと虚しい」
「……お疲れ」
「やめろ……辛い。でもしょうがないか」
元村の光を失った目を見ながら俺たちは休み時間を過ごすのだった。
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