第15話
元村と和解(?)した次の日、いつもの様に登校し自分の教室に入った。
すると、妙な噂みたいなものを耳にした。
『昨日のやつ、元村本気なのか?』
『あいつ向こう側に寝返ったんだよ』
『それにあいつを許す前島も前島よね。あいつ自分がされたことを忘れてんのかしら。だったら頭おかしいわ』
みんな俺や元村に対する陰口だった。しかし、その殆どは元村に対してだった。既に元村にはいじめみたいなものが始まっているのだとか、そういうのが聞こえた。
更に一部の人からの目線というか、俺を見る目が変わった気がする。今まで殆どが侮蔑などの視線だったが、今はその中に戸惑いの視線を感じた気がした。この一年で少しは視線に敏感になっているので、恐らくだかこの感じは合っていると思う。
「ん?ああ、それは……いや、お前は知らなくていい。お前SNSとかしてないだろ?だったら知らない方がいい。これは忠告だ。知ったらお前はさらに苦しむかもしれないからな」
昼休みの時間になって、俺と幸太郎は元村と合流して一緒に昼食をとっていた。
その時に、クラスでの事を元村に相談したのだが、さっきの様な返事が返ってきた。
「何でだ?確かにSNSはしてないけど、そんなんで俺が苦しむ様なことがあるのか?」
「SNSだからだよ。確かに見るだけならそんなに苦しまないだろう。だがな、その見たものが自分にとって知っているものや事だったら?それに対して皆が好き勝手暴論やら正論、悪口とかが書かれていたら?そう言うことだ。だからやめとけ」
「でもなあ……」
「まあ、見たければいいけどな。俺のはあくまで忠告だし。その代わり、覚悟しとけよ」
「あ、ああ」
元村の本気の顔が見えた。と言うことはそれほどのものだろうか。でも、友人として心配してくれている。なら、見るのは控えようかな。
「今回は俺も元村に賛成だ」
「幸太郎も?」
「あれは駄目だ。特にお前とかはな」
「ふうん」
幸太郎もこう言ってるし。そもそもSNSには興味なかったから問題はない。
「分かった。でも結構気になるけどなあ……」
「こればっかりはしょうがない。でも、お前にとっては悪くないんじゃないか?」
確かにそろそろあの視線にはうんざりしていたところだ。少しでも減るのならそれに越した事はない。
それに最近妹の真穂に言われて気付いたのだが、俺は寝ている間よく泣いていたらしい。声は出していなかったらしいが、偶々それを見たという。それから毎日俺が寝ている間に観察したら、その間ずっと泣いていたそうな。もしかすると知らないうちにメンタルがかなりやられていたのかもしれないな。昔、よく母さんから“相手のことはよく気付くのに、自分のことになった途端鈍感になる”とか言われていたからな。あれはこのことだったらしい。無意識のうちに溜め込んでいたんだな。
ストレスを感じなくなることは俺にとってかなり良い。
「そうだな」
理由は分からないが、俺の周りの環境は少し変化を見せていた。今後もしかしたら、あんな視線を向けられる様なことは無くなるだろうか。淡い希望だが、そんな未来も遠くないように思えてきた。
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<お知らせ>
14話に追伸として載せましたが、大月②、③を書くことにしました。
コメントなどを読んだり色々考えたりしてやっぱりまだ足りないなと感じたので。あれだけじゃあ駄目ですよね。
その時まで楽しみに(?)待っててください!
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