第14話

(第三者視点)


 あの一連の騒動後、大月は転校先の学校で特に不自由なく暮らしていた。

 彼女も作り、友達と遊んだり部活に励んだりと、高校生では一般の所謂リア充の青春を謳歌していた。

 しかし、決して無視できない犠牲の上に成り立っていたそれは、ある日一瞬で瓦解するのだった。








「おはよー」


 ある日のことだった。彼はいつものように学校に登校した。

 しかし教室内はどこか不気味な雰囲気を醸し出していた。

 大月はちょっと疑問に思ったが気にせずに自分の席に座った。


「な、なあ……」


 すると、1人のクラスメイトが彼に話しかけた。

 その様子は何処か余所余所しかった。大月はクラスメイトの様子に訝しみながらもいつものように話した。


「なんだ?」


「お前って確か彼女いたよな?」


「ああ」


「じ、じゃあこれに写ってる女子は誰なんだ?」


「ん?───っ!?」


 は確かにモザイクで処理はされていて、顔はおろか撮られた場所さえ分からない映像だった。

 しかし、そこに


「な、何だよこれ……お、俺は知らねえよ」


「で、でも確かにこれはお前だよな……お前にしか見えねえんだよ」


 そこへ教室に1人の女子が突然入ってきた。

 それは大月が今付き合っている彼女だった。


「和馬!これはどういうこと!?」


「……は!?し、知らねえよ!?」


「でもこれ完全にあなたじゃない!?」


「ち、違う!これは俺じゃない!」


「でも確かお前、ここには転校してきたんだよな」


 そこへ別のクラスメイトがボソッと呟いた。それは核心を突いたものだった。その言葉に大月は冷や汗をかいた。このままでは、不味いと。

 そしてそこから徐々にクラス全体へと拡散していく。


「確か去年だったよな。どこからだっけ?」


「えっと……ここじゃね?ほら、マップ検索してみたけど、周辺にこの動画と同じ制服の学校があったけど」


「あ、本当だ。確かにこの制服だよね。殆ど一緒っていうかまんまそのままだよね」


「……てことは大月がここにきた理由って……」


「あ!?この学校、うちの学校と同じ系列の私立だって!」


「それじゃあ確定じゃね?なるほどな……大月ってほんとはそういう……」


 あっという間に拡散され、そして核心を次々と突いていく。そこまで証拠がそろえば、ここにいる彼らは大月に対するイメージは180度変えた。




 ───こいつはクズだと。




 それはいつぞやのがされた事と殆ど一緒だった。その原因が噂か事実かの違いだけだった。


「最低!あんたがそんなんだとは思わなかったわ!もう私たちは終わりね!」


「ち、違う!これは俺じゃない!別のやつだ!俺がこんなことするはずがない!」


「うるさい!私を騙していた癖によく言うわ!さよなら!もう二度と私の前に姿を見せないで!」


「ま、待ってくれ!」


 そして周りのクラスメイトも徐々に口を開く。


「そうだったんだな……大月ってそう言うやつだったんだな。失望したよ」


「ええ、そうね。今度から関わらないようにしましょ」


「おい、あまり声を出すなよ。あいつに聞こえちまうだろ」


「いや、そんなんどうでも良くね?俺たちを騙してたんだ。そんなの今更だろ」


「ち……ちが……」


 声を出そうにもそれは周りのクラスメイトの声に掻き消される。

 因果応報。今の彼にはその言葉がピッタリだった。

 今まで自覚していなかった罪の意識をここで初めて持ち始めた。

 だが、今それを持ったとしても



____________________________________


ざまぁ回でした。

一旦大月のざまぁはここで一区切りです………………………………が、気分が乗ったら大月のその後②を書くかもしれません。


次の更新は前回もお知らせしましたが、一月九日となります。

よろしくお願いします。

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