第4章 仕上げ

その日の夜、仕事から帰ってきた和美は、急いで山梨の実家に電話をかけた。

早くしないと祐二が帰ってきちゃう。

電話には父が出た。

「もしもし」

「あ、お父さん、和美よ」

「ああ、なんだ、元気にやってるか、祐二君も元気か?」

「お母さんは?」

「母さんか、今、風呂に入ってるんじゃなかったかな」

「え、そうなの?すぐ出てくるよね?」

「そりゃあ、出かけたわけじゃないから、すぐ出てくるだろ。それより元気でやってるのか?」

「そんなことより、ちょっと大事な用事があるのよ。お母さん、6日にこっち来るんでしょ?」

「ああ、そんなこと言っとったな。恭平に持っていくものがあるって言ってたし。おい、それより、何だよ?元気でやっ」

「ああ、もう分かったわ。じゃあ、お母さんがお風呂から出てきたらこう伝えて。明後日位に荷物がそっちに届くから。ギフト用の包装がされていて、お母さん宛になっているけど、それはあたし用のだから。そのまま6日にこっちに持ってきて、って言って。いい、絶対に伝えてね。じゃあね」


その頃、仕事帰りの駅のホームから祐二は恭平に電話をかけていた。

「祐二さん、元気ですか?」

「ああ、もちろん元気だよ、恭平はどう?仕事は少しは慣れた?」

「仕事はまだ研修ばっかりで別にそんなに大変でもないんだけど、一人暮らしの家事の方が面倒で」

「初めての一人暮らしか、まあ、それは確かに面倒だよな。あ、それより、ちょっと頼みたいことがあんだよ」

「なんですか?」

「ネットでオイルランタン買ったんだよ、和美には内緒でね。そんで恭平んとこに届くから、受け取っておいてくんないかな」

「あはは、姉ちゃんには内緒、なんですね。いつ届くんですか?」

「昨日夜中にオーダーしたから、明日か明後日くらいかな。頃合いみて回収に行くからさ」

「いいですよ。それじゃその時に久しぶりに飲みませんか?」

「おーいいね。新しいランタンもそのうちデビューさせるからさ。一緒に行こうぜ」

「僕も最近キャンプ道具揃え始めたんですよ。自前の道具で参戦しますよ」

「お、そりゃすげー。そんじゃ、またな。荷物よろしくな」

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