繋がる線と線・・・6
「有さん、遅くなってごめんね」
爽やかに笑う成田。
こんな状況でなければ、誰もが騙される人の良い顔だ。
「お願い!成田さん、愛充ちゃんだけでもここからだしてあげて!」
怯えながらも大きな声で叫ぶ有。
そんな有を見てにっこりと笑いながら「勿論だよ。彼女を殺しはしないさ」と優しく告げる。
「ほ、本当?」
「えぇ、勿論だよ。だって彼女は僕たちを結ぶキューピットだからね。殺すなんて、そんなことはしないよ」
有に向けるあたたかい優しい目が、愛充をうつした瞬間ひどく冷たい目になる。
それを感じ取った愛充は冷や汗を流しながら隙がないか観察する。
「さぁ、有さん。約束の時間だよ」
「…うん」
成田は有に近づき、拘束をとくと彼女についている首輪に触れながら高揚した顔を向ける。
「暴れたりしたら、この首はドカンだ。だから、分かるよね?」
「…わ、わかってる」
「変なことを考えてもダメ。僕に愛おしい貴方を殺させないでね」
「うん」
そういうと成田は有をエスコートしながら扉へと向かう。
その光景に愛充は思わず声をあげる。
「どこいくの!?」
「あぁ。キューピットから質問だね。有さん、答えてくれるかな?」
「…っ」
「その美しい口で、ね?」
「…ぁ」
「ほら、いいなよ」
怯える有を優しくなでながら、優しい声色で諭す成田。
そんな成田にビクつきながら有は小さく口を開く。
「…ヒ、ヒデ先輩を、殺しにいくの」
衝撃的なその言葉に愛充は目を見開く。
そしてその言葉を理解した瞬間、成田を思いっきり睨みつける。
彼女の行動を鼻で笑うと、成田は有をエスコートしながらその場を去っていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます