繋がる線と線・・・4

確かに、有ちゃんから家族の話は聞いたことがなかった。

家族の話になったとき決まって有ちゃんは姉の話をした。

今までの有との会話を思い出しながら、そう納得する愛充。


「お父さんとお母さんって…」


意を決して愛充が聞くと有は小さく頷いた。


「私が小さいときに亡くなったの」

「そ、っか」

「…交通事故」

「え」

「お父さんとお母さんが車に乗っておでかけしてたときに、酒気帯び運転してた車とぶつかったみたい…で」

「みたいっていうのは?」

「私もその車に乗ってたの」

「え!?」

「運よく助かったんだ。 お腹に小さな傷跡が残ってるだけで、交通事故の記憶も全くないの」

「そ、そうなんだ」


思っていた以上の過去に愛充は言葉を失う。

有も少し気まずいのかチラチラと愛充の様子を伺っている。


「あ、あのね。 私も聞いてもいい?」

「え! な、なに!?」

「愛充ちゃんも自分のお父さんの話しないよね? もしかして…」

「あ! 生きてるよ!」

「なら離婚とか?」

「ううん。 えっと、笑わない?」

「勿論! だってこんな状況だよ? 最後になるかもしれないから悔いがないように聞いておきたかったし、言っておきたかったんだ」

「そう、だよね。 うん! 私のパパはね、冒険者なの」

「冒険者?」

「あ、ニートなわけじゃないよ! 本当に冒険者なの! 化石を発掘したりしてお金を稼いでるみたいでね!」


有が疑っていないのにも関わらず、弁明するように早口で伝える。


「ママもね妊娠するまでは一緒に冒険しててね! 家に帰れば写真があるから! ほんとーに嘘ついてるわけじゃないの!」


あまりの形相に有は目をぱちくりさせる。

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