繋がる線と線・・・3
瞼がゆっくりと開く。
ピリっとした痺れが身体を這う。
今自分はどこにいるのか、どんな状況にいるのか覚醒しきってない頭で周りを見る。
「どこ…?」
キョロキョロ周りを見ている。
どうやらここはどこか一軒家のようだ。
ふわふわのベッドに、可愛らしい水色のテーブル。
子ども部屋なんだろうか?
そう思いながらベッドを見るとそこには一人の少女が縛られていた。
「有ちゃん!!」
その少女を目にした瞬間勢いよく脳が覚醒し、今どういう状況かすぐに理解した。
自分は小鳥遊愛充で、現在誘拐されている最中。
犯人は目の前にいる持田有に爆弾を仕掛け、ベッドに拘束している。
急いで立ち上がろうとするが思うように手足が動かせない。
「…無駄だよ。 愛充ちゃんも縛られてるから」
「うそ!?」
「本当だよ」
諦めたように話す有。
その姿に愛充は嫌な予感がした。
「…もしかして、有ちゃん」
「ごめんね」
「やっぱりあのクソ野郎になんか言われたの!?」
「愛充ちゃんだけでもここから出してもらえるように頑張るから。だから、私のことは忘れて」
諦めたように笑う有は、まるでドラマのワンシーンのように美しかった。
それと同時に、なんで何も悪いことをしていない有ちゃんが犠牲にならなきゃいけないんだと沸々と怒りが湧いてくる。
「やだ!」
「え」
「ぜぇえええったいやだ!」
駄々をこねる子供のように大きく否定する愛充。
そんな彼女の行動に目を丸くし驚く。
「有ちゃんは何も悪くないもん! 悪いのはあのクソ野郎で、有ちゃんじゃない!」
「でも、私がいなかったらあの女の人も死ななかったし、愛充ちゃんだって捕まらなかった!! それに、それに…ヒデ先輩だって…!!」
さっきまで感情をみせないようにしていた有ちゃんが目から涙を溢れさせながら口を開く。
「ヒデ先輩だって…いなくなっちゃう…」
どんどん小さくなる言葉にどんどん涙が溢れてくる。
「パパやママみたいに…」
そう呟く彼女に愛充は驚きから目を開く。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます