情報収集愛充編…3
「うぅ…。かっこ悪いところ見せちゃってごめんね。 有ちゃん」
「ううん! 凄く強かったよ! 先輩相手に一本とってたしね」
「でもでも結局負けちゃったし…。 くそぅ。 なんであのクズト先輩があんなに強いんだよぉ」
「ふふ、確かに。 ヒデ先輩不良っぽいもんね」
「本当だよ。 あの金髪!」
二人は思い出すように英人の外見を思い出す。
金髪で瞳も同じように色素が薄い金色。タレ目で優しそうな印象を与える彼はまるで王子様のような風貌である。
ただ一つ残念なのが、彼の性格である。
傲慢で怠惰、人を人とは思わぬ性格をしていた。
「アレでもヒデ先輩は優しいよ」
ただし一人を除いては。
「それは有ちゃんだけだよ!」
「そんなことないよ。 愛充や王陽先輩には優しいよ」
「そうかなぁ~?」
「先輩がクズなことには変わりないけどね」
「ソレよソレ! もう! なんであんなクズと付き合ってるの!?」
「うーん」
当時を思い出しながら有は口を開く。
「最初はクズだし、怖いし、言ってることヤバイから逃げてたんだけどね。 そ、そのある日から私のペースに合わせてくれるようになって…。 ほ、ほら私って人見知りじゃない!? だからそれがそ、その嬉しくて…」
顔を赤らめながら幸せそうに一生懸命に伝えてくる有の姿を笑顔で見つめる愛充。
「有ちゃんがそれでいいならいいんだけどさ!」
「心配してくれてありがとうね」
「そんなの当たり前だよ!」
「でも病院にまでついてきてくれて本当に感謝してもしきれないよ」
「全然むしろ好都合っていうか!」
「え? 愛充ちゃんも病院に用があったの?」
「え!? そ、そんな感じ!」
「大丈夫なの? 私のギックリ腰に付き合ってる場合じゃないよ! 怪我とか!? 大丈夫なの!?」
心配そうに愛充を見上げながらどこに怪我があるのかキョロキョロ確認する有。
「怪我はしてないから安心して! ていうか私が怪我してても有ちゃんのギックリ腰の方が大事だから! ほら八月五日の夏期講習をお休みしてたでしょ? めちゃくちゃ心配したんだから!」
「ご、ごめんね」
「パソコンばっかりもいいけど、ちゃんと動かないとダメだからね! なんなら有ちゃんの運動に私も付き合うよ!」
「ヒデ先輩と同じこといわないでよ!」
「え」
英人を同じことを言ったことにショックを受ける愛充。
「それに二人の運動について行けるわけないし。 二人ともスポーツ推薦枠でしょ? 私は一般入試で入ったし。 運動なんて全然できないよ」
小越高校はスポーツ選手を輩出する名門校で、成績は二の次だった。
だが校長が変わり大幅に見直しが入ったのだ。
そのおかげで成績が低く名前だけ書けば受かる学校からある程度の成績がないと入れない学校へと変貌したのだ。
勿論今まで築き上げてきたスポーツ選手を輩出する名門校という肩書を無くさないためにスポーツ推薦枠の量を増やしたりしていた。
その為小越高校はスポーツ推薦の生徒と一般入試の生徒で成績の差が大幅にでてしまうのだ。
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