情報収集愛充編…4

「じゃあ私診察してくるけど愛充ちゃんはどうする?」

「あっとー! ここで待ってる!」

「いってきます」

「いってらっしゃーい!」


大きい声で有に声をかける愛充に周りからの視線が刺さる。

それに気づいた有が唇に指をあててジェスチャーする。

周りの視線にようやく気付いた愛充は気まづさから頭をペコペコしながら近くの椅子に座った。


「はぁ…(やっちゃった。 もう! なんで私ってこうなの!? 次からは本気で気を付けないと…) うし!反省終了!」


両頬をぺしんと叩きながら再度立ち上がる愛充。

あたりを見回しながら情報収集のために動き出した。


「あれ? 小鳥遊さん?」

「え?」


動き出した愛充の後ろから急に声をかけられる。

驚きつつ後ろに振り向くとそこには金髪でカジュアルな服装をした男性がいた。


「えっと…」


どこかであったことがあるような?

そう思いながらも全く思い出せない愛充は申し訳なさそうに口を開いた。


「ごめんなさい。 どなたでしたっけ?」

「分からないのも無理ないですよ。 僕、有さんの知り合いなので」

「あ! そうなんですね!」

「いつも有さんがお世話になってます」

「いえいえ! こちらこそお世話になってます!」

「ふふ。 では僕はこれで」

「はい!」


こっちは本物の王子様みたいだなと思いながら愛充は近くの看護師さんに話しかけた。


「ちょっといいですか?」

「はい? どうかされましたか?」

「えっと…。 館川先生はいらっしゃいますか?」

「院長はただいま休暇中ですが…。 どういったご用件で? 急ぎの要件でしたら別の先生をご紹介しますよ。 院長は数日間お休みを頂戴しておりますので」

「そ、そうなんですね。 それって百合さんがお亡くなりになったからですか?」

「ちょっと貴方こっちにきて!」


館川百合の名前を出した瞬間看護師さんの顔色が変わる。

愛充の腕を掴むと人通りがいない階段へと移動した。

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