簡易的なプロファイリング…2

「ん~!やっぱり英ちゃんが作るきんぴらごぼうは美味しいわね」

「ん」

「お母さんが作ってもこんなに美味しくできないのよねぇ。ねぇ、隠し味とかあるの?」

「別にないよ。というかバイト先でよく作ってるからじゃないの?」

「そうなの?」

「うん。洋食も和食も半分ずつくらいあるよ。もともと和風がテーマのコンカフェだし」

「そうなの?今度お母さんも食べに行ってもいいかしら?」

「絶対ダメ。コンカフェで食べる必要ない。ただでさえ外食なんてたまの贅沢なのに浪漫喫茶でご飯食べるなんて…。考えただけでも怖い」

「あら?そんなに高いの?」

「飲み物頼むだけで千円以上」

「まぁ!高いわね!」

「そんなのに金だすなんて無駄」

「でも一度くらい働いている姿をみたいわ。安全って聞いてるけどやっぱり不安なのよねぇ」


「(最初反対してたからな…。もし事件に巻き込まれたなんて知られたら…)」


どうやら英は母である幸子に浪漫喫茶で起きた事件のことを伝えてはいないようだ。

むしろバレることが嫌なのか、愛想笑いをしながら「そのうちね」と濁す。


「御馳走様でした!」

「はい。お粗末様」

「今日も勉強するの?」

「うん。そのつもり」

「あんまり無理しないでね」

「一時には寝るから」

「分かったわ。学校の夏期講習って明日から?」

「うん」

「お弁当はいるの?」

「いや午前中だけだから大丈夫だよ。そのままバイトだからお昼はまかない貰う予定」

「分かったわ」


英は机の上を片付けるとノートと教科書を取り出した。

そして母である幸子は布団を敷きに奥の部屋へ向かった。

1DKの部屋ではお互いが何をしているのか筒抜けだ。それだと勉強に集中できないと考えた幸子は、ダイニングと部屋を繋ぐ襖をそっと閉めた。

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