簡易的なプロファイリング…1

「ただいまー」


そう声をあげながら小さなアパートに入っていく英。

中から人が好さそうな女の人が「おかえりなさい」と言葉を返していた。


「今日は遅かったのね」

「うん。バイト仲間と話してて遅くなった。もうご飯作っちゃった?」

「ううん。お母さんも今帰ってきたとこよ」

「そう。じゃあすぐ作るからお風呂沸かしてくれる?」

「そういうと思ってもう沸かしてるわよ」

「…今帰ってきたわけじゃないのね」

「あら、その揚げ足の取り方はお父さんソックリねぇ」

「…はいはい。じゃあテレビでも見ながら待ってて」

「お母さんも手伝おうか?」

「いい。今日の料理当番は私だし」

「そう?じゃあお願いするわね」


英はキッチンにかけてあるエプロンを手に取り、慣れた手つきで着用し料理をし始めた。

それをニコニコと見守る母である幸子ゆきこ

数分見守ったのち、幸子は逆方向にあるお仏壇に近づき手を合わせる。


英明ひであきさん。今日も平和な一日が終わりそうです。明日も平和な一日が過ごせますようお空から私たちを見守っていてくださいね」


そう笑顔で呟く。


「(貴方の娘は、貴方に似てとても優秀な子だから心配はしていないの。でも貴方に似て頑張りすぎちゃうことがあるから…。もうそんなところまで貴方に似なくてもよかったのにね)」


お仏壇には英によく似る男性の写真が飾られていた。


「お母さん、ご飯できたよー!」

「はいはい。今行くわ!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る