女子高生バイト三人の『浪漫喫茶殺人事件』

簡易的なプロファイリング…３

幸子が襖を閉めたことを横目で確認すると、英は鞄からノートを取り出す。

それは浪漫喫茶で取り出したノートと同じようだ。

「（まず簡易的なプロファイリングをするためには、今ある情報を読み解く必要がある）」

英は思い出すようにノートに箇条書きで書いていく。

【簡易的なプロファイリング】20XX/8/7

8/1：21時に愛充がトイレで館川百合が倒れているところを発見。その後毒物で死亡と発覚する。　麗珠が接客の際、茶髪のスーツと待ち合わせだと聞くがまだ店内にはいなかった。　麗珠から聞いた話によるとだいたい18時30分ごろに館川百合が入店。　その後リュウキ(ホスト)が18時55分ごろ退店。　会計は席にて行ったためレジの監視カメラには映っていない。

8/2：午前中に警察から連絡があり午後から休み、警察が現場検証にくる

8/3：特別清掃

8/4：正常勤務開始

8/5：麗珠、英、愛充それぞれ事情聴取を受ける

8/6：愛充に会うため警察が小越高等学校に来る

8/7：麗珠の意向により犯人捜しを開始

「（日付で表すとこんな感じか。この情報から簡易的な犯人像の推定をする。確か本で読んだ感じだと臨床的プロファイリングの方が良さそうかな）」

【犯人像の推定：プロファイリングの手法の一つ。　「秩序型」と「無秩序型」に分類する臨床的プロファイリングと犯罪者の行動パターンを説明する統計的プロファイリングがある】

「（まずは、「秩序型」か「無秩序型」か。　今回は待ち合わせした人が犯人だと推察される。　わざわざ浪漫喫茶を待ち合わせ場所に選び、監視カメラに映らず毒物を珈琲に混ぜ被害者に飲ませた。　間違いなく「秩序型」の犯行。　犯人とって浪漫喫茶で殺人を行う必要があった。　その理由が分かれば犯人に一歩近づく）」

英は顎に手を置きながら考えを纏めると、ノートに書き始めた。