スーツの茶髪の男…2

「八月一日の夜、浪漫喫茶でとある女性が毒殺されたんだよ」

「…は?」

「その女性と待ち合わせしていたのがスーツの茶髪の男性のようでね?八月一日に同じような背格好をした人にお話しを聞いているだけなんだ」

「は、ちょ!殺してないっすよ!?つか誰だよ!その女性って!」

館川百合たちかわゆり、二十三歳の大学生」


加賀は黒髪の女性の写真を見せる。


「っあ…」

「見覚えがあるのかい?」

「確かあの日俺の斜め前の席に座ってた人っす。美人で金持ってそうだったから狙ってたからよく覚えてるっす!」

「狙ってたって?」

「あー!女性としてじゃないっすよ!?お客として狙ってたわけ!俺、ホストだから!やっぱ金持ってる女性って貴重だし」

「どうして金持ってるって思ったんだい?」

「だって全身ブランド物ばっかりじゃなかったっすか。ホストは色恋を商売にしてるんっすよ?女性のブランド物をリサーチしないわけないじゃないっすか!」

「なるほど。じゃあ面識があったわけじゃないと」

「なんなら監視カメラでも見たらいいんじゃないっすか!俺その女性に一度も近づいたことないっすよ!あくまでも金目的で覚えてたってだけっすよ。これマジだから」

「じゃあそのマジを信用するために、お店を何時に出たか教えてくれるかな?」

「十九時前っすね。その日出勤予定だったんでそのままここに向かいました」

「それを証明出来る人っているかい?」

「…いや一人で行動してたから…。あ!でもタクシーの領収書は持ってるかも!ちょっとオッサンたち待ってて!」


リュウキはバタバタとバックルームに入っていった。

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