小鳥遊愛充の事情聴取…1

━小鳥遊愛充の事情聴取


「小鳥遊愛充さん部活帰りに申し訳ないね。ちょっと先日の件でお聞きしたいことがあってね」

「全然大丈夫です!」

「元気いっぱいだね。何部なのかな?」

「剣道部です!」

「すごいね。確かスポーツで有名だよね小越高校ってオジサン甲子園みるの好きなんだよ」

「どの分野でもトップを目指すのが小越高校の理念っぽいですね。詳しく知りませんけど!」


元気よく発言する彼女は、何故自分がここに呼ばれているかまるで分かっていない様子だった。

その様子に加賀は少し咳払いしたのち話し始めた。


「八月一日にね。トイレで倒れていた女性いたでしょ?」

「あー!それ!本当に驚いたんですよ!?あの人大丈夫だったんでしょうか?」

「…それが搬送先の病院で亡くなったんだよ」

「へ?」

「それがどうやら病気でもなさそうでね。女性の体内からは毒物が見つかったんだ」

「ど、毒物!?」


麗珠や英にはない新鮮な反応に刑事二人は少しだけ感動を覚える。

そして純粋な彼女が傷つかないように丁寧に説明し始めた。


「これは義務的な手続きでね。まだ自殺か他殺かも分かっていないんだ。だからあの日、あの現場にいた人に事情聴取をしているわけなんだよ。わかるかい?」

「え、あ、は…、はい…」


愛充は放心状態のまま何とか返事をした。


「本当は落ち着いてから事情聴取をしてあげたいんだけどね。こういうのは覚えている内にやらないとね」


そう優しくにこやかに聞く加賀に、愛充も少しだけ落ち着いたのかさっきよりも真剣な表情で頷いた。

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