第43話 目的地到着もヤクザ
鳴門と言えばだいぶ前だが二月二十日に第百二十三回ロトシックスで一等三本のうち二本が鳴門市内の同じ窓口で出た。
その金額が一本二億四千五百万円も出たそうだ。もし同じ人なら約五億円近い金額になる。あぁ羨ましいかぎりだ。
「何度か私ここに来たけど此処は壮大で大好きよ」
久し振りに早紀は海峡を眺めて気分が落ち着いたのかアキラに語りかけた。
「さあて出発しようか、早く行って友達に逢ったら安心するでしょう」
アキラは少しだけの休憩だったが、モタモタしていたら何が起きるか。いくらアキラでも、そうそう揉め事ばかり起していられない。車を高速道路に乗せて走り出した。
高知まで時間にして二時間三十分で着く予定だ。上板、土成、阿波、脇町、美馬、三好~そして、はりまやをアキラはノンストップで走った。
「早紀さん場所、分りますか?」
「えぇこの先にある競馬場の近くです」
やっとの長旅は早紀の目的地、友人の居る高知に着いた。
浦戸湾の先に名所、桂浜がある。それを見下ろしように坂本竜馬の銅像が高台に建っている。そこから五分程走って目的地に到着する筈だ。
春野総合運動公園入り口に差し掛かると早紀は「あっここよ」と言った。
「ありがとう山城さん。ちょっと待っていてね。行って来るわ」
早紀は走ってその家に入って行ったが、その家を見たアキラは……
アレッと思わず声が出た。アキラが見たものは? なんだか立派な看板が玄関にあった。普通の家にしては大き過ぎる。なんの看板かな? アキラは身を乗り出した。
『竜馬隊』と立派な金文字の看板だった。なるほど坂本竜馬の資料館かな?
やがて十分後、松野早紀と落着いた和服姿の女性が近づいて来た。
その女性が先の友人らしいが、年は先と同じ三十歳くらいだ。
「ご苦労様です。この度は早紀が大変お世話になりました。どうぞ中に入って旅の疲れを癒してくださいませ」
なかなか女性にしては貫禄が感じられ威圧感さえ漂っていた。
「初めまして山城旭です。松野さんとは縁ありまして一緒に旅をさせて貰いました。急ぎ旅でもないので気にしないで下さい」
アキラは案内された駐車場に車を停めた。それにしても黒塗りのベンツが数台も置いてある。
相当な家柄なのかも知れないと最初は思ったのだが、資料館でないようだ。
とっ玄関が近づいて来ると、いきなり七~八の男が玄関の両側に整列した。
なっなんだあ~~この連中は? アキラは呆気にとられた。
どうやら其処は、またしても竜馬隊と言うヤクザの組事務所ようだっだ。
つづく
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