第40話 早紀が攫われ真田小次郎の登場

 あの三人組に違いないアキラは夜中にも関わらずホテルに宿泊費を前払いして荷物を置いたままホテルを出て車に飛び乗った。

しかし何処をどう探せばよいのか時間は深夜の二時、街は人の通る姿もなく時おり車がすれ違うだけ。

 あせったアキラは『やっぱり一人にするのじゃなかった』と後悔した。

数時間も湯の街を探したが、まったく分からない。まして深夜に、その辺にタムロしている筈もなく。アキラは駅の前に行ってみたが夜中に電車が運行されているわけもなく、こちらも手がかりは皆無だった。

 アキラは、まさか組の姉御なら殺されることもあるまい。そう思ってホテルに引き返した。

 翌日の早朝、ホテルに話して彼女の荷物を持って行く承諾を得てアキラは有馬温泉に別れを告げて再び車を走らせた。本来なら旅での知り合い探す義務はないのだが高知にいる友人の所まで連れて行く約束がある。きっと彼女はアキラに助けを求めている。アキラは応えた。それも「まっかせなさい」とアキラは男で御座る約束は命をかけても守る。もう任侠の世界だなぁ、アキラ男だねぇ


 約束を守りたくても、何処に消えたか連れて行かれたのか見当もつかない。

閃いたぁ。そうだ真田小次郎のインチキ占いに聞いてみよう。

こうなったらワラにでも縋りたい気分だった。早速とっつぁんの携帯電話にコールする。しかし出ない、三回電話してやっと受話器から声が聞こえた。

それも迷惑そうに「だれ?!……」と来た。

「とっつぁん俺だ! アキラだよっ。なんだ寝ていたのかぁ」

「誰かと思えばアキラかぁ、あんなぁこっちは夜中の商売だ。まだ眠ったばかりなのに一体どうしたんだ」

「そうか、とっつぁん悪かった。朝だと思ったが熟睡している時間だな。起きたついでに悪いんだけど頼みがあるんだ」

「なんだい頼みって、金が以外だったら相談に乗るがな」

「ヘヘッ、とっつぁんらしいや。でさぁ頼みは人を探しているんだけど。それを占って欲しいだ。とっつぁんは都内一の占い師だから」

アキラは心にもない事を言って受話器の前で、笑みを浮かべた。アキラは簡単な、経緯と松野早紀の特徴を話した。真田は少し時間を置いて電話を掛け直しと言って一度電話を切った。


 十分ほどして電話がアキラに掛かって来た

「あぁ分ったぞ。たぶん京都じゃ! 近くにお寺がある」

「とっつぁん、なに言ってるんだ! 京都は寺ばっがりじゃねぇか」

「おう、そうじゃったなぁ……川が交わった辺り……その辺だ」

「そっそうか? 他には? 建物の特長とか」

「そこまでは分かんないよ。そうだアキラ浅田美代って人を知ってっか?」

「美代さんの事か知っているよ。ホラ俺の為に社長に取り入ってくれた人だよ」

「その人が俺とアキラが知り合いだと、どこで聞いて来たのか電話があって」

「ほっ本当か! それでなんて言ったんだい」

「今、旅に出ているって言ったよ。携帯の番号教えたけど、不味かったかなぁ」

「ヘヘッとっつぁん気が利くじゃないか。ありがとうよ。じゃ又電話する」


つづく

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