第38話 アキラ、スナックで大暴れ

♪ウララッウララッ~~ウラウラよ~~♪

そんな歌謡曲が頭に浮かぶ。まさに妖艶のまなざしであった。

早紀は昨夜の無念の仇討ちを? 晴らそうかと思えてならない。

今夜もまた、昨日と同じように二部屋取ったがアキラはまだ酔ってはいない。昨夜のように翻弄されたらたまらない。

年上で色気たっぷりの女は怖い。アキラは夕食が終ると、早紀には内緒でホテルから飛び出して夜の湯の街に繰り出した。

冷たい風が肌を突き抜ける。適当なスナックを見つけてドアを開けた。なっなんと「いらっしゃませ~」の代りにビール瓶が飛んで来た。

危うく避けたものの、店の中は大喧嘩の真っ最中だった。客同士の喧嘩だ。アキラはどういうわけか、こんな場所によく出会う。

あの、お袋の店でもそうだった。だが此処はお袋のとは無縁の店。見ず知らずの連中に自分が、ただ酒を飲ませて仲直りさせる気はない。

これも旅の良い所。普通の人間なら別な場所に飲みに行くがアキラは、野次馬根性が大好きで、怖いもの知らずだ。喧嘩を見るの楽しみのひとつ。その喧嘩真っ最中の中に、構わずに中に入って行った

目の前では、互いに襟を掴みガップリと組み合っていた。アキラは、真っ最中の二人を構わず前を進む。「オイッちょっと通してくれよ。邪魔だ」と二人を押しのけた。

周りに居るママやホステス達は、オロオロと怯えていた。さてさて、いったい何がこれから始まるのやら。アキラは昨夜に続き、忙しい夜になりそうだね


アキラが喧嘩の真っ最中の中に平然とカウンターの席に座った。

そこにオロオロしていたママがアキラの巨体を見て頼みに来た。

「あの、お願いです。あの二人を止めて貰えませんか」

「あぁいいですよ。でっどう言う風に収めれば良いのかな」

「どう言う風にと言っても……」

「つまり表にほっぽり出しとか、警察にまかせるとか」

「ハッハイ警察沙汰は困ります。出来れば穏便に」

「分かった。少しあらっぽい穏便になりますけどいいですね」

荒っぽい穏便って? そんなの あるのかぁ

ママの了解が得られれば大義名分が立つ。アキラは行動に移った。まさに修羅場となったスナックの店内は飲み物やコップが散乱していた。

アキラは二人の間に入って、二つの頭を上から押さえつけた。アキラの手は大きいから片手の指五本で頭をすっぽり包む込むほどだ。次の瞬間に二つの頭を強引にぶつけた。ゴッツーと鈍い音。

人には見えなかったろうが、二人は目のあたりから火花が出たことだろう。

二人はフラフラ~~とその場に倒れた。アキラは二人の腰にあるベルトを掴んで二人を持ち上げた。まるで子供を持ち上げるように。

そしてスナックのドアを押し開けると道路に二人を放り投げた。二人は何がなんだか分からぬまま道のアスファルトに転がされた。二人は相手との喧嘩どころじゃなかった。

どちらからともなく「なっなに、しんじゃい……」と吠えた。

が、見た相手は人間とは、思いないほどの巨漢でゴリラのようだった。

「なんだと! お前達のおかげで他の客が迷惑だって分んないのか!」

と言うか言わぬかの間に、アキラは二人の顔をパンパンと二発叩いた。

「アワワッ、やめてくれ~~」と二人は戦意喪失。

「あんたらなぁ、店がメチャクチャになってママが泣いているぜ。分んないのか」

そこからアキラは二人の大人を目の前に座らせなんとアキラの説教が延々とつづく。

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