第36話 アキラ、ホテルで早紀に襲われる??
四日市は祭りが多い事と、桜の名所でも有名だ。どんと祭り、狐の嫁入り道中。喧嘩祭りなど年中祭りがある。
いっ時の海の匂いを楽しんだ二人は近くに海が見えるホテルを宿にした。だからと言って部屋は一緒じゃない。例え誘われても断るつもりの予定?
アキラは二部屋を頼んだ。人助けにつけこんでは男がすたると思った。
アキラは大浴場で旅の疲れを癒していた。そんな時、浅田美代の顔が浮かんだ。
『俺って何やってんだろう。美代さんはどうしているだろうな。きっと黙って辞めたことに怒っているだろうなぁ』
アキラは風呂から上がって大食堂で早紀と一緒に食事をした。
早紀の浴衣姿がまぶしい。ビールを飲んだ後の早紀は、ほんのりと顔が赤い。
二人はそれぞれの部屋に戻った。アキラは明後日までには高知に着きたいと思っている。早紀を其処で降ろせば自分の役目が終ると考えていた。
そこへコンコン……コンコンとドアをノックする音が部屋に響く。けげんに思ったが昭はドアを開けた。先の姿がそこにあった。
「あっ松野さん、どうかしたのですか」
「えぇ、ちょっと心配で眠れなくて一緒に飲もうかと思って……」
アキラは心臓の鼓動が高くなった。いくら眠れなくても二人っきりの密室では。
「は、はぁ、そうですねぇ。それじゃ飲みましょうか」
アキラはドギマギしながら早紀を部屋の中に招き入れた。
二人はウエスキーの水割りを作って飲んだ。それから、たわいのない話が続く。
またまた早紀の顔が色っぽく赤くなって部屋がムンムンして来た。
「あたし……何だか酔った見たい」
ホラホラ怪しげな女の妖艶が? アキラ責任はとれるのかぁ。早紀の目が怪しい色に変わって来た。さすがに鈍いアキラでも雰囲気で分かる。据え膳食わぬは何とか、しかしアキラは男だ。男のメンツが立たぬ……が? メンツが立たなくても別なものが立ったらどうするのじゃアキラ。
「まっ松野さん……いや早紀さん。ぼっ僕は……あの~~その~~」
「ねぇ~~~アキラちゃん私を介抱してくださるかしら」
(ちゃん)に変っている?
アキラは早紀の色気に翻弄された。酒に酔った勢いで……な~~あんて。
「さっ早紀さん。もっ勿論です。でもどうやって介抱すれば良いので?」
アキラは酔いと興奮で目がグルグルと回る。
「介抱って言ったら介抱でしょう」
早紀の甘い声が耳元に聞こえる。やがて静かになった。アキラは夢の世界へ招かれた。いや筈だったが。部屋に朝の日差しが差し込んでくる。しかしズキズキと頭が痛む。
アキラは目が覚めた。なんだかオデコに紙が張り付いている。それは一枚の紙に文字が書かれていた。
(バ~~カ 意気地なし)
つまりアキラは酔いと興奮で(御馳走)を目の前にして寝てしまった訳で。
その結果、早紀がアタックに失敗。無念のオデコへの張り紙だった。
アキラ敵前上陸失敗。直前にて沈没せり
つづく
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます