第33話 3人のヤクザをノックアウトさせる

とっ! 男が本当にナイフを持って突っ込んで来た。

「野郎!!」 

 ナイフがアキラの腹まで五十センチと迫った。だがナイフ持った男の手がそこで止まった。その手前でアキラの長い手が男の頭を押さえつけた。

その猛獣のような手が頭骸骨を片手の指で締め付ける。

「ガァ~~」

男が悲鳴をあげる。物凄いアキラの指の握力だ。次の瞬間に長い足が男の顔面を蹴りあげた。男は三メーターも吹っ飛んだ。

残った二人はアキラの迫力に臆したか二、三歩後ずさりする。完全に頭に血がのぼったアキラは二人の男を捕まえた。

 捕まえかたが普通じゃない。片方ずつ先ほどの男と同じように頭蓋骨を押さえ付けて、同時に二つの頭を強引に衝突させた。

ゴツ~~鈍い音と共に二人は伸びてしまった。先に蹴られた男が、どこか強打したのか呻き声を出していた。

もう完全に野生のゴリラと化したアキラは、とどまることを知らない

「テメィさっき言った事をもう一度、言ってみやがれ!」

また、その男の顔面をジャイアント馬場のような十六文キックを浴びせた。


※ちょっと此処で十六文キックの由来を説明しよう。

プロレスラーのジャイアント馬場がロサンゼルスで購入した靴に十六というラベルが貼ってあったことに由来。実際の馬場の足サイズは十六文(約三十八.四センチ)

でも、十六インチ(約四十センチ)でもなく三十四センチだった。因みにアキラも足のサイズは三十四センチである※

あまりの破壊力に三人とも完全に気を失ってしまった。先ほどまで怯えていた早紀が、悲鳴に近い声を発した。

「もうヤメテッ死んでしまうわ!」

「ああそうだね、この辺でかんべんしてやるか」

「それにしても貴方は怖くないの?  相手はヤクザよ。ナイフだって使うし。体格のいいのは認めるけど度胸は相当なものね、驚いたわ」

「相手がヤクザでもどってことないすよ。まぁ喧嘩慣れしているし平気ですよ」

尚も襲い掛かろうとしたアキラを必死になって止めた。これがアキラの野生ゴリラと言われる由縁である。恐るべし! 山城アキラ 

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