第31話 松野早紀? 何者やっぱり怪しい

謎の女、得体の知れない女、なのにアキラはデレ~~とっして

「まかせなさい! どうせ俺も宛がある旅でもないし」

「アラッありがとう。あっそうそう私、松野早紀よろしくね」

アキラよりは五才ほど上の姉さんだがフェロモンがムンムンするいい女だ。

なんとなく水商売風にも見えるが、悪く言えば〔女狐〕的な小悪魔かな? いや悪女かも。まあアキラには人のことをとやかく言える容姿でもないが。

「あぁ俺、山城旭デス……でどちらからですか?」

「ふふっ あたしは北からよ」

まったくもって怪しげな女だ。北って言ったって まさか北朝鮮かぁ!!

「はぁ? 北ですか」アキラは思った。


じゃ俺は東かぁ。まぁ無理には詮索しまい。

それから車は名古屋に差し掛かった頃には昼をとうに過ぎていた。その間、松野早紀なる女の口数は、ほとんど閉ざされたままだった。

アキラは甘いアバンチュールを描くが、これではシャボンの泡と消えそうだ。

「どうですか、もう昼も過ぎだし飯でも食べませんか?」

アキラは早紀に声を掛けた。それまで無表情だった早紀は

「あっ、もうそんな時間なの? じゃあキシメンでも食べましょうか」

どうもこの女まったくもって怪しげだが、謎めいた所が魅力的でもあった。

(アキラ! 君子危うきに近寄らずじゃ忘れたのか?)

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