ヒントを探して
水曜日の朝、あかりはソワソワしていた。
旅行会社の人と会える事になったからだ。
バッグに『夢日記』を入れ仕事に行く。
約束の時間が気になり時計ばかり見ていた。
仕事が終わり、約束の時間まであと3時間程ある。
弥生と一緒に近くの喫茶店に行き、時間を潰すことにした。
「今日の仕事、時間経つの遅くなかった?気のせいかな。」
「うん、わたしもそう思った。時計ばっかみてた。」弥生がニッと楽しそうに笑う。
二人のテーブルに店員がマルゲリータとコーヒーを置く。焼き立てのピザを横目に、あかりは昨日書いた『夢日記』を弥生に見せた。
「昨日書き直してみたの。分かりやすいでしょ?」
「おーっ!いいね。これならあの人も分かるかも。佐々木さんていう女の人だよ。話しやすくて、いつも旅行行くとき相談してるんだ。」
「良かった。この夢見始めて10年でしょ。何か分かる事あるかもしれないって思うと、昨日中々寝付けなかったよ。」
「確かにね。普通に考えると不思議だもん。私なんかほとんど夢見ないからさ〜たまに見る夢ですら一瞬で忘れちゃうんだよ。」
約束の時間が近づいてきた。
二人は会計を済ませ、旅行会社に向かった。
「こんばんは!」
弥生が元気よく挨拶し、二人は旅行会社に入る。
窓口には女性が二人座っている。
「あ〜弥生さん!こんばんは。待ってましたよ。こちらにどうぞ!」
にこやかな女性が手を上げて合図をする。
窓口の女性とあかりはお互いお辞儀をし、自己紹介をする。
「はじめまして、あかりです。弥生から話を聞いていたと思いますが、今日はよろしくお願いします。」
「はじめまして!佐々木と申します。何か少しでも力になれればと思ってます。よろしくお願いしますね。」
あかりと弥生は佐々木がいる窓口に行き、椅子を並べて座った。
『夢日記』をバッグから取り出しあかりが見る夢の話を佐々木に伝えた。
…
「そうですか。この夢を繰り返し見るんですね。ポイントはこの街並みと図書館ですね。クリスマス前に雪が降る所、そして大きな図書館。この絵をヒントに少し調べさせて下さい。分かったら弥生さんに連絡しますね。このノート、コピー取ってもいいですか?」
「はい、どうぞ!10年前から同じ夢を見続けててどうしても気になるんです。場所が分かったら、実際に行ってみようと思ってます。」
「そうですね。実際に行って見てみると何か思い出すかもしれないし…もしかしたら、前世の記憶かもしれないし、あかりさんに何か関係あるのは確かだと思うんです。未知な事ってこの世にはたくさん存在しますからね。」
佐々木さんに手を振り、旅行会社をあとにした二人は電車に乗り、それぞれの家に戻った。
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