旅支度

次の日の夜、弥生からメールが届いた。


(おつかれさま。佐々木さんから連絡来たよ!場所が分かったみたいで、明日仕事の後に会社に来れるかって聞かれたけど、行けるよね?)


(おつかれさま〜もう分かったの?すごいなぁ。もちろん明日行くよ!佐々木さんに伝えておいてね。よろしくー)


ついに夢で見てた場所が分かる!

あかりはパラパラと夢日記を見ながら、この夢の景色を自分の目で見れるかもと思うと嬉しくて仕方なかった。


幸いあかりの会社は休みが取りやすい。希望通りに取れるのは間違いない。

カレンダーを一枚めくりいつ頃行けるのかなぁと日付を眺める。



なぜか今日は時間が経つのがいつもより早い。おかげで、仕事が終わるまでの時間が苦じゃなかった。

帰る支度をして弥生と一緒に旅行会社に向かう。


「昨日はちゃんと寝れた?大丈夫?」

「あれからテンションあがっちゃった!まぁまぁ寝れたかな。」

「ついにどこか分かるんだもんね。どこなんだろうね!すごいドキドキする。」


旅行会社に着き、佐々木さんを見つけて挨拶し、早速話を聞くことにした。


「こんばんは。少し時間かかるかなと思ったけど、意外に早く分かっちゃった。あかりさんが見てた夢の場所、それはフィンランドでした。」


「フィンランドですか。あぁ…確かに、雪が降る所ですね。現実に存在する場所を夢で見てたんだ…。

やっぱりこれは現地に行ってみなきゃですね。」


「はい。フィンランドは雪のイメージありますよね。11月から雪が降り始めるんですよ。そう、あの大きい図書館はフィンランド国立図書館と言って、歴史のある図書館です。あの辺りを歩いていたんですね。図書館までの道は夢日記の通りだけど、周りの建物は変わってそうですね。それと図書館の外観、あかりさんの夢日記の通りでしたのですぐに見つかりました。これはあかりさんと何か関係があることは間違いないですね。いつ位に行く予定ですか?」


「夢の中ではクリスマスツリーが飾られてて、雪がチラチラ降ってましたので、それを考えると…12月の始めくらいに行きたいですね。」


「ちょうどいい頃だと思います。東京と違ってかなり冷え込むので、コートや帽子などの防寒具が必須になりますね。東京からフィンランドのヘルシンキまで、飛行機で10時間ほどで行けますよ!私が手配しましょうか?」


「はい!旅の手配をお願いしたいです。何泊がおすすめですか?宿泊先は図書館の近くが良いですね。」


「あの〜わたしも一緒にフィンランドに行ってもいい?」と弥生が手をあげた。


「もちろん。一緒にいこうよ!弥生が一緒に来てくれると心強いよ〜」


佐々木はにこっと笑い、

「かしこまりました。最低2泊はおすすめしたいので…そうですね、4泊6日だと行きやすいと思います。詳しいプランをご準備しておきますね。またこちらから連絡します。」


申込書に記入し、あかりと弥生は店を出る。ついに夢で見ていた場所が判明し二人はニヤけっぱなしだった。


「あ、会社に休みの申請しておかないとね。いつ出発にする?」


あかりが手帳を取り出し少し考える。

「そうだなぁ。4泊6日だと、12月2日〜7日はどう?8日は日曜だから会社休みだし。」


どれどれ〜と、あかりの手帳を見る。

「そうだね、良さそうだ。早速明日休み申請出そう!」


「うん。弥生、パスポートあるよね?家に帰ったら期限確認しよう。」



家に帰りパスポートの期限を確認する。

まだ期限内だったから更新しなくても大丈夫みたい。


フィンランド旅行まであと3週ほど。

少しずつ準備を進めなきゃなぁ。久しぶりの海外旅行だし色々満喫してこよう。


クローゼットからスーツケースを取り出し、手帳にこれから準備するリストを書き溜める。

(そうだ、夢日記も忘れずに持っていかなきゃ。)


旅支度は、あかりが夢に辿り着く第一歩となる。

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