第11話 あーん

お姉ちゃん......じゃなくて、盛愛優内です。久しぶり......でもないか。


 それはともかく、これほど馬鹿正直に、お姉ちゃんとラブラブとか、イチャイチャしたいとか言える妹がいるなんて。わたしなら絶対に無理。あまり恥ずかしくて言うはずがない。と言っても、不安も少し残る。つい......一昨日?昨日?よく覚えてないけど最近まで他の人が好きだったのに、こんなに呑気にただ妹の気持ちを真に受けていいの?


 好きかどうかならば、もちろん好き。わたしは、妹のことが。でも、それが間違いだとしたら?わたしの本当の気持ちじゃないとすれば?


 でもそんなに深く考える必要が本当にあるの?


 わたしが今、妹のことを好きだと思ったら、それはそれで、それ以上考えなくても、それでいいじゃない?


 だから。


「そうか。でもここでイチャイチャすれば、変な目で見られるんでしょう?わたしたち、誰がどう見ても明らかに姉妹にしか見えないし」

「別に誰も私達を見てないと思うけど?」


 いや、その訳が......ある?


 周りの人を一通り見回したら、皆が自分のことで忙しそう。花が言ってた通り。


「で、花は何がしたかった?」

「キス?」

「それだけはさすが無理」

「キスだけが無理なら、キス以上のものならしてもいい?」

「だめよ。特にここにするのは」

「他のところならばいい?」

「いいよ」

「え?ほんとう?」

「本当よ」

「そうか。お姉ちゃんとしたいことといえば、私がせ」

「言っておくけど、ここで何もしないと言ってたのは覚えてるでしょう?そしてここじゃなくても何でもするわけもない」


 そしてもう一つの理由もある。花が何を言いかけたのかはしらないけど、店員がちょうどその時通り過ぎたので念のために変なことが聞かれちゃう前に蓋を塞いだ方が良かったかなとか、考えてた。だからわたしのかわいい妹を他の話題へ導く。


「ね、花。そういう話より、食事がもう来たよ」

「え、ほんとう?あ、ほんとうにもうきてる!」


 テーブルの上で、食事めいたものがおいてあるから、妹の判断が多分正しい。


「お姉ちゃん、あ~んしていい?」

「......いいよ」


 そんな程度のものを受けて、もっと恥ずかしくならないことを保証する。わたしはそう判断する。正解かどうかは、わたしにもわからない。

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