第2話 転生
「■■! ■■■■■! ■■■■■!」
「■■、■■■■■■」
俺は、どうやら無事に産まれたようだ。
さて、じゃあまずステータスの確認を
【異世界言語の習得を開始します】
え? ギャァァァァァァァァァ!!!
まるで脳を開き、直接情報を捩じ込むような苦痛が全身を巡る。
「おぎゃあ! おぎゃあ!!」
「お■! 元■■■」
「■■、本■に」
【異世界言語の習得……38%】
「おぎゃあ! おぎゃあ!!」
痛い痛い痛い痛い、あのクソジジイが! ふざけるな! こうなるなら事前に言えよ!
痛みによって、生まれた怒りの矛先が神に向けられる。
「はは■、お〜れ■息■〜」
「もう、産ま■たばかり■のに」
今世の父さんは、産まれたばかりの俺を持ち上げて喜んでいるが、俺はそれどころではない。
ビギャァァァァァァァ
「オギャーーーーーーー!!」
【スキル《痛覚耐性》を取得しました】
【異世界言語の習得……64%】
「そ〜れ、そ〜■」
「落とさな■ようにね」
ぐるぐるしないで、ぐるぐるしないで父さん!
ギャァァァァァァァァァァァァ!!!
「オギャァァァァァァァ!!!」
【スキル《痛覚耐性》のLvが2になりました。
スキル《思考拡張》を取得しました】
【異世界言語の習得……88%】
「あれ? 泣き止まないな……」
「まったく、ほら、貸して」
「おぎゃぁぁぁ、おぎゃ、ん……」
【スキル《痛覚耐性》のLvが3になりました。
スキル《思考拡張》のLvが2になりました】
【異世界言語の習得が完了しました】
その声が聞こえると同時に、痛みが消え、俺は気絶するように寝ていった。
「ほら、泣き止んだでしょ」
「あれ、おかしいな……?」
◇
「あれ、ここは……?」
俺は、痛みに耐えきれず寝たかと思えば、何故か前世の自宅で目覚めていた。
【ここは、貴方の精神世界です】
「うわっ!」
急に声が聞こえたから、また痛みが来るのかと身構えてしまった。
【大丈夫です、痛みはきません】
「……本当だ」
取り敢えず、痛みがこないことが分かって、冷静になれた。
「で、お前は誰なんだ?」
【それは後に説明するので、まずは部屋を出て下に降りてください】
言われた通りに動く、そう言えば体が前世の姿になっている。
高校の学生服を着ており、脱ごうとしたが脱げない。
【その服は、貴方の一番印象に残っている姿です。脱ぐことも着替えることも出来ません】
なるほど、取り敢えずその説明で納得する。
「おぎゃぁ、おぎゃぁ!」
一階に降りると、リビングダイニングから声が聞こえてきた。
リビングダイニングに行き、扉を開く。
すると、中は草原になっていた。
草原になっていた。としか言いようがない。
ポカポカして暖かい太陽、曇一つない晴天、
丁度いい長さに伸びている草。
そして、何故か草原の中にあるベビーベッド。
そこから、声が聞こえていた。
「おぎゃぁ! おぎゃぁ!」
【あやしてあげなさい】
「え? どゆこと?」
【言葉のとおりです】
俺は、混乱しながらも、持ち上げてみる。
思っていたより、重かった。
「おぎゃぁ、おぎゃぁ」
「え! え? 泣き止まない! どうしたらいいの?」
【落ち着いて、持ち上げただけで泣き止むわけ無いでしょう】
たしかに。じゃあどうすれば……
【適当になにかやりなさい】
それから、俺は色々やった。
「あっぷっぷ〜」
「おぎゃぁ!! おぎゃぁ!!」
……
「こちょこちょ」
「おぎゃん!」
「イタッ!」
……
……
……
……
「はぁ、はぁ、ようやく眠らせることができた」
【まさか水の音が一番効果があるとは……】
俺たちは、謎の声の人が何処からか出した、蛇口の水の音で、なんとか眠らせることができた。
赤ちゃんは、眠るとどこかへ消えていった。
【では、ここの説明をしましょうか】
「はい」
【ここは、貴方とあの子の精神世界です】
「はい?」
【あの子の体に無理やり入り込んだ結果、それによって生まれた、
精神の歪みを治すために作られました】
「え? 確か神様は、魂が入らなかった肉体に入れるって……」
【神様? それについてはよく分かりませんが、とにかく事実を認識してください】
「分かりました」
【そして、今あの子は、現実世界で活動しているはずです。
何か意識が切り替わるきっかけがあるはずですが何か心当たりはありますか?】
心当たり? この精神世界? に来る前にしたことといえば、気絶するように寝て……
もしかして、
「寝ること?」
【貴方は最後に寝たのですね。
まあ、他に気になることがないなら、おそらくそれでしょう】
「そう言えば、貴方の名前はなんですか?
俺は鈴木
【……名前はありません。
好きに呼んでください】
そう言うと、謎の声の人は黙り、辺りはすっかり静かになった。
……暇だな、特にやることもないし……
そう言えば、神様に能力をもらったな。
神様がくれたのは《ステータス閲覧》と時空魔法の才能、そして異世界言語。
時空魔法と異世界言語は確かめようがないから、出来ることは実質的に1つだけだな。
この精神世界で使えるか分からないけど、
取り敢えず試してみよう。
「《ステータス閲覧》」
名前 シュウ レベル1
職業
HP 20/20
MP 15/15
物理 2
防御 1
魔法 3
魔法防御 1
素早さ 1
幸運 1
ユニークスキル ステータス閲覧
(時空魔法) 多重人格
スキル 痛覚耐性Lv3 思考拡張Lv2
異世界言語
称号 転生者 ユニークスキル保持者
……低いのか高いのか分からない。
《ステータス閲覧》を使えばさらに細かく見れるようなので見てみる。
レベル……魂の格。高いほどステータスが上がる。
職業……つくことによって様々な恩恵を受けられる。現在使用不可
HP……体力。0になると死ぬ。
MP……魔力。0になると全ステータス半減。
物理……攻撃力、腕力、物理攻撃等に補正。
防御……守備力、丈夫さ、防御等に補正。
魔法……魔法、魔法攻撃、操作、感知等に補正。
魔法防御……魔法、防御魔法、魔法に対して丈夫になる。
素早さ……回避、速度等に補正。
幸運……様々なことに補正。
ステータス閲覧……神の権能。自他関係なく、ステータスを細かく見ることができる。
多重人格……1つの肉体に2つの魂を持った本来ありえない存在。
痛覚耐性……痛みに強くなる。
思考拡張……記憶力が少し上がる。
……だいぶ雑だが、だいたい分かった。
他にも何故か名前がシュウになっていることや、(時空魔法)のことなど気になることがあるが、取り敢えずそれは置いておくことにする。
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