第2話 脳筋聖女と料理
儂は厨房の料理長を務めておる者だ。
名はなんというのかじゃって?名乗るほど立派な者じゃないわい。
ところでじゃのう、ちと老人の話に付き合ってはくれないかね?
あれはいつだったかな、確か先週くらいにおこったことだったはずじゃ。
なんと儂が仕えておる聖女様がいきなり厨房へ来たんじゃ!どうじゃ、驚いたろう。
あんなに身分が高い御方が厨房に来るなんてありえないからのう、、可愛らしいお嬢さんだ。儂ゃ嬉しかったのお、、、
おっと話が逸れてしまったわい。それでのう、急に料理がしたいと言いだしたのじゃ。一瞬幻聴かと思ったわい。
とりあえず好きなように作らせたんじゃが、、、儂はすぐに判断を誤ったと後悔したわい。
あれは、、酷かったのう、、、、
卵を割ろうとすると潰れる!
包丁でまな板ごと切り刻む!
あまりの惨さに儂ゃ驚いたわい。試しに包丁でリンゴの皮剥きをやらせたんだがのう、、、リンゴが無残な姿になったわい、、
そして聖女様は粉々になったリンゴを煮込んだんじゃ。煮込めば全部一緒だと聖女様はおっしゃった。とりあえず試しにジャムを作ってみるらしいのじゃ。
そのあとジャムは一応できたんじゃが、、
砂糖を入れてなかったせいであまりジャムとはいえなかったわい。まあ聖女様は喜んでいたからよかったのじゃが、、
本当に驚いたわい。老人には刺激が強かったのう。包丁の持ち方も危なかった。
、、、本当に怖かったのじゃ。
もう行かせてだって⁉︎おい若造!まだ話は終わっておらん!
それでのう、聖女様は次にスープを作ろうとしたのじゃ。
そしたらなんと片っ端から野菜を刻んで水の中にぶち込んでいったのじゃ、、、
野菜には合う合わないがある、野菜の組み合わせで味が大きく変わるんじゃ。特に料理人の儂はそこにこだわりがある。その光景を見ているだけで鳥肌がたったわい。
完成したスープは、、これまた恐ろしかったのう、、
一言、複雑な味じゃった。食後30分くらいは口に味が残っておったのう、、、
後の厨房の掃除は大変だった、、、
使い物にならなくなった包丁にまな板、散乱する食材たち、、、
聖女様も手伝ってくださった。あの御方は優しいからのう、ほっこりしたわい。
そういえば聖女様が帰り際に何か呟いていたのう、
ん?なんて呟いていたかだって?
確かもっと筋肉を鍛えるとかなんとかとおっしゃっていた気がするのう、、、
悪いのう付き合ってもらって、これで話は以上じゃ。もう行っても良いぞ。ちなみにこの話は秘密にしておいてのう!
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