第332話 毎年恒例年末伊勢参り
毎年恒例年末行事の伊勢参りに行ってきた。我が家は「お願いします!」ではなく、「今年も一年ありがとうございました!」のお参りをしている。だから年末になる12月にお伊勢さんに行く。からーの! 何故なのか、家族全員が大好きで仕方ない和歌山県にお伊勢さん参りの後に向かう。
いやしかし。伊勢から和歌山は結構遠い。毎年お気に入りのホテルで宿泊する場所は那智勝浦で、和歌山県の中でもさらに遠い。それをお伊勢さんにお礼参りに行ってから行こうと思うと、かなりハードスケジュールだ。でもそれでも。
「やっぱり和歌山だよね!」と子供たちはいう。
「そうだな、和歌山に行かなきゃな」と夫もいう。
ごめん、私は正直いって、別に和歌山行かなくてもいいなって思う。でも、私以外の家族は和歌山県に行けることにものすごくテンションが上がっていて、それをいうのをやめている。みんなが楽しいなら、いいやんね。と、そう思ってるから。
だがしかし——。
今年のお伊勢さん参りからーの和歌山旅行はインフル病み上がりのパパが運転で、冷や冷やしてしまった。パパはスピードを出していい加減に運転するのが得意だ。うん、それでも私より運転技術が高いんだけど。きっと私が運転してたらいつまで経っても和歌山県には到着できないかもしれないくらい、私はスピードを出さない。
「だって! 子供五人乗せてるしね!」と、声を上げていうけれど、パパ的には私は渋滞作る系運転手らしい。
「あ、うん。一車線の高速道路、私の後ろにずらっとヘッドライトが続いてたわ」
追い越し車線がある場所で私が運転する車を何台も抜かして行った。でも、法定速度は守ってるから、私はきっと、悪くない。はず!!!
インフル病み上がりのパパさんは後遺症で咳込みが治らず、全然最近寝れていない。一泊した和歌山県の旅館でも私がビールを美味しくいただいて爆睡してる間中ずっと咳がこみ上げて寝れなかったそうで。
ごめん、私、全然気にしないで脳みそシャットアウトしてたわ……。部屋の冷蔵庫からサービスドリンクのビール中瓶を二本飲み干して、さらに夕飯時に生ビールとハイボールを飲んで、さらにさらにはパパに隠れて旅館の売店で買った缶ビールを三本ほど飲んでました。
「え、飲み過ぎかも? いや、だって非日常の旅行だし!」
そんなお気楽な私は飲みまくりまして。で、翌日の帰り道を運転することになったのです。
いえいえね。私は日頃からお酒が好きだと自分でもわかってるので、アルコールチェッカーなるものを密林で購入してまして。いやまじで、二日酔い、測定するとアウトなこと多いですよ。だから、寝て起きて子供を学校に送る時に規定値以上のアルコールが残ってたらダメです。それはもう、「飲酒運転絶対ダメ!」なので、その辺結構シビアに計測してるのです。でもさすがに呑んだ翌日の夕方過ぎは大丈夫だった。
だから後遺症で咳が込み上げるパパの代役で運転したんだけど……。
和歌山県から日本の中心地まで帰る道のり。ナビが案内する道順通りに車を走らせると、一車線のトンネルばっかりの道だった。
「さっきからここ走ってる気がする……」
法定速度を守る私の前に車のヘッドライトは見えない。でも、ルームミラーを見るとめっちゃヘッドライトが見える。
「私、渋滞作ってる?」
いやしかし。法定速度を守って走ってる私は法律的には悪くない。でも、きっともっと走りたい人にとって私は「お前もっとスピード出せや!」な人だと思う。現に渋滞ができてしまってる……。
後ろを走る人達の心の声が聞こえる。でも、スピードを出したら怖い。異世界にぶっ飛んだみたいに目の前の景色はトンネルの中ばっかりで。同じ景色が流れていく。
ここはどこ? 私ちゃんとしてる? 大丈夫? てか、怖過ぎてスピード出せないし!
深呼吸をしながら心を落ちつけ走った約二時間はものすごく長かった。
「ねぇ、もう、長距離運転私無理かも」
五番ちゃんが高校生になったら日本全国二人きりで一緒に旅行しようなって言ってくれたパパちゃん。うん。私もそれは楽しいと思うし超嬉しい。でも、車はやめとこ。そう思った今回の旅行なのでした。
帰ってきて洗濯物の山に圧死されそうな昨日からの本日。
「おかーさーん。彼氏のクリプレ買うお金ないからお小遣いプラスしてくれないと無理ー!」
一番ちゃんの発言に、微妙にイラッとしてしまいました。
「おまっ! 今回の旅行で結構お金使ったで? 彼氏へのプレゼント? 知らんわ!!!」
てな感じで、今日も平和に我が家の日常は過ぎていくのでした。
*
戦争のない世界が子供たちに残せるか。
旅行で行った熊野大社でお礼参りとは違って、平和祈願をしてきました。
日本だけを考えたら「今年も平和でありがとうございます」かもしれない。でも、ニュースで流れてくる世界情勢を思ったら、「どうか、戦争のない世界にしてください」だと思いました。
なんで、戦争をするんだろう。
なんで、罪なき子供を殺すんだろう。
同じ種族なのに、なんで殺し合うんだろう。
それって正義なの?
違くね?
昔々。私にはイスラエル人の彼氏がいました。
彼は軍隊に入るのが嫌だからと知的障害者のふりをして、軍隊に入ることを逃れました。それはダメなことかもしれない。でも彼は平和な人だった。人種で差別することは決してなかった。
私は知的障害のある弟がいて、その弟は平和の民だと思っている。彼は、弟は、荒んだ私の家族を繋ぎ止める要だった。
天使の弟は自由奔放です。
でも、誰も傷つけない。
優しい心を持った天使だと私は思っています。
ねぇ、聞きたい。
宗教の違いや、思想の違いで誰かを殺す人々。
それって、どうなん?
お前らの方が頭おかしいんじゃない?
そう思いながらニュースを見ています。
なんもできないけれど、毎日思います。
もう、やめよ。
もう、やめて。
そんなことを熊野大社の神様にお願いするのはお礼参とは違うけど、願っていい気がした、今年の年末のお礼参りでした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます