第169話 昨日から書いていたら本日になった、本日。
物語をモモンガだけしか書けなかった、本日からの日付を跨いだ、本日。きっと書き終わる頃には本日になっているだろうと思い、妄想日記を書き始めてみました。
今日は、まだ明日はだけども、書き終わる頃には今日は、の現在時刻は十一時四十五分。きっと終わる頃には、六月十日になってるはずです。うむ。
久しぶりに飛行機に乗ります。無茶苦茶怖いです。行き先は南国の離島。昔は大人の都合で旅行の日程を決めれたけれど、中学生が増えてきた我が家はすっかり子供のスケジュール。定期テストに塾の夏季講習、さらには今年は一番ちゃんが高校受験、来年は二番ちゃんが高校受験……。六年二ヶ月で五人の子供がいるので、次から次へとやってきます。そこにきて塾やら習い事やらの教育費が恐ろしいことに!
「もう、今いかなきゃ、家族でバカンスにはいけない気がするっ」
そう思った四月から企画して、五人分の子供手当を残し、今までコロナで行けなかったレジャー費を計算し、なんとか飛行機代を確保! 四月から気がつけばあっという間に六月で、いよいよ明日、間違えた、今日出発します。
学校を初めて病気以外で休む子供たちはとってもうれしそう。ディズニー行くから学校を休んだ友達の話などをうらやましそうに話ていた子供たちも、ついに、旅行で学校が休めるとそこだけでも大興奮でした。
「まじで金曜日から休んでいくの?」
「本当に?」
「いいの?」
「夢だった!」
「わぁい!」
誰がどれとは言わないけれど、五人の子供たちが口々に喜ぶ姿を見て、もうこれは雨でもいいやと思いました。嘘です。そんな綺麗事ではありません。そんなにいけるわけもないバカンスにお金を使っていくのです。会社も休んでいくのです。
「晴れてくれー!」
おっと、心の声でした。失礼いたしました。天気予報は曇りのち雨。雨か……。大丈夫、きっと晴れると思います。だって、私、最強の晴れ女ですから。ええ。最強クラスです。昔イベントをやってる時は、周りの市町村はゲリラ豪雨だったのに、私の主宰しているイベントの会場がある町内だけは台風の目の中のように晴れていたこともあります。
もしも雲行きがおかしかったら、私の超不思議な能力で雨雲を消し去ろうと思います。そうなのです。私、今初めて言いますけれど、魔法使いなのです。多分。
明日、間違えた、もう今日朝の六時おきで七時半に家を出ると言うのに、まだ洗濯物が終わりません。それを待つ時間にやってきた妄想日記で、少々、昔あった不思議なお話を書いてみようと思います。ここは妄想日記なのですものね。
あれは、まだ二十代の頃。ヒッピーの友達が多かった私は、今住んでいる県の中でもかなり山奥に住んでいるヒッピーな友達の家にポンコツ車で遊びにいきました。その時、オカルトな噂のある朝鮮トンネルと呼ばれる真っ暗なトンネルの中で不思議なことがありました。今日は、それを少し小ネタにしようかなと。
夏も近いですしね。BGMをいつも聴いているダンスミュージックから、ちょっとホラーなものに変えてきますので、少々お待ちを。えっと、どれがいいかなっと、これかな。うん、これだねこれ。よし、BGMも決まったので、早速行ってみたいと思います。
****
「エンプティヘッド」
私の名前は
今日はいつも野外パーティーで一緒に踊る仲良しのフミくん(仮名)の家に、友達のタカくん(仮名)と二人で遊びにやってきた。タカくんは別に彼氏じゃないただの仲のいい友達で、もちろん身体の関係なんて全くない。
男と女は友情が芽生えないなんて誰が言ってるの?
そんなの、嘘だから。
人と人とで出会って気が合えば、恋愛だけじゃなく惹かれる関係性ってあるからさ。そのひとつが趣味があうとかさ、そう言う感じの友達。タカくんとはお互いの彼氏彼女の話ができる、超なんでも言い合える友達なんだよね。
で、そのタカくんと一緒にフミくんの住んでいる無茶苦茶山奥の古民家に夜の八時くらいについたわけ。で、フミくんのアコースティックなギターと歌声をサカナに美味しい缶ビールを私は飲んで、それで、その後タカくんの乗ってる古い型の所々塗装が剥げてる紺色のバンで、家に帰ることにしたんだよね。
それが、深夜二時ごろ。
タカくんはお酒が飲めないからって、運転してくれて。
「バイバーイ!まったねぇ!」
なんて酔っ払いながら私とタカくんはフミくんにそう言って、フミくんの古民家がある場所から舗装されていない道路を進んだの。
「ねぇ、和響、この先、あの有名な朝鮮トンネルあるんだって」
「まじで? 超怖くない?」
「でもせっかくここまできたし? そのルートで帰らん?」
「えー、やだぁ。怖い話苦手やもん」
「まじ? 俺平気。行こうよ、きっとなんともない……はずだって」
そう言ってタカくんはその噂の朝鮮トンネルに向かったのよね。私は正直嫌だったけど、運転してるのはタカくんだし? しょうがないかなって。
ついてみたら朝鮮トンネルは大したことなくて、ただの山に真っ黒の穴が空いてるだけのように最初見えた。でも、トンネルの中には電気は一個もなかったの。
「むっちゃ怖いやん! もういくのやめようよ」と私は言ったけれど、ここまで山を登ってきたら、このトンネル超えた方が早く家に帰れるってとタカくんに言われて、私はじゃあしょうがないかと、オッケーを出した。
ゆっくりと真っ暗な山の真っ暗な闇に吸い込まれてゆく古くて錆びた紺色のバン。
車のライトが照らす先には、電気のない、ただ穴を掘って簡単にその内側を塗っただけの重い灰色の世界が続く。出口もどこまで行けば見えるのかわからない、そんなトンネルの真ん中で、錆び付いて所々塗装が剥げたバンのエンジンが止まった。
「うそ、え? ちょま、なんで?」
「うそでしょ? 真っ暗じゃん!」
不思議なことに、エンジンだけでなく、車のライトも消えてしまった。
「くそっ! てか、ここトンネルの真ん中じゃね?」
「真ん中かどうかもわかんないじゃん! 真っ暗だって!」
「だよな……。俺、外でて出口までどれくらいか行ってみるわ、な勇気ないかも」
「私もないって」
シーンと音のない世界は逆に煩く感じられ、私とタカくんは寒気を感じた。それもそうか、地下のトンネルの中なんだもん。
「祈るしかない」
「そだね、祈るしかないね。携帯も圏外だし」
私とタカくんは祈り続けた。車のキーを回しながら、祈り続けた。もうお願いします動いてくださいと、祈り続けた。そのころの携帯はスマホじゃなくてガラケーだし、祈るしかなかった。そしたら私の目を閉じているのか閉じていないのかよくわからないくらいの暗闇の中に、光が見えた。あれは、確かに光だった。
ブルルン
どれくらい時間が過ぎたかはわからないけれど、いきなり車のエンジンがかかった。
「まじで!?」
「うそ!?やった!」
こうして私たちは無事に家に帰ることができた。
トンネルを抜けた時、タカくんの車のガソリンメーターを何気なくみたら、もうエンプティだった。
ねぇ、遠くに行く時はガソリン入れよ?
私はそう思ったけれど、今でもあの不思議な体験は忘れられない。
暗闇に差し込んだ光は、一体?
おしまい
****
懐かしい昔の記憶を少々書いてみました。
今書いてみて思うのは、エンプティなオツムをした若者二人が、エンプティなガソリンで山奥に行き、しばらくエンストしたけど、外気で冷えたガソリンが少し復活し、帰れたのかと。
しかし、真相はトンネルの中。
本日は、まだ洗濯物を畳んで干さねばならないので、この辺で。
本日もお読みいただき、誠にありがとうございました。
誤字脱字、あるかもー!
****
心を静寂に戻し、今日も祈ります。
――黙祷
世界が平和になりますように。
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