第170話 馬鹿になって戻ってきた、本日。

 馬鹿になりにバカンスに行き、文字通り、馬鹿になって帰ってきた、本日。


「キーボードを触らなくちゃ眠れないー!」


 家族みんながお疲れで寝たのを確認し、急いでノートパソコンの前にやってきた。どんだけ好きなんだ、カクヨム生活。そう思うけれど、もう書きたいことが山ほどありすぎて、パソコンを持って行かなかった私は妄想の中にいっぱいストックしてきた。でも、馬鹿になりにバカンスだったから、きっとその妄想を忘れてしまう気が……する。うむ。致し方ない。馬鹿になりにバカンスに行ったのだから。レシート類の金額の合計も、クレジットカードの明細も、通帳の残高も、馬鹿になってしまった今となっては、後悔のしようがない。だって、馬鹿になりにバカンスに行ったのだから……。


「明日から、しばらくはお茶漬けだな……」


 そうひとりごちた深夜一時。


 スーツケースの中の大量の洗濯物と明日格闘しなくてはいけない現実を忘れるために妄想日記にやってきた。ここは、私のオアシス! もちろん、ヘッドフォンはダンスミュージックである。


 多分、この妄想日記は短いはずだ。


 もう、書く気力もないほどに、海で遊んだわけでもなく、プールで泳いだわけでもなく、ただひたすらに、帰りの飛行機の時間に間に合うように片付けをこなし続けた私がいるからだ。


 子供も愛するパパも自由気ままにバカンスをしている。でも私は荷物の管理と、パッキング作業に追われている。飛行機に間に合わなかったらいけないからだ。何なら、行きの飛行機では搭乗時刻に間に合わず、呼び出しをされてしまったからだ。そんな悪態は二度としてはいけない。


「お母さん、天気悪いからプールに今から行きたい」


「海の水が少ないから蟹をとりたい」


「海カフェでオサレなドリンク飲んで写真撮りたい」


「家に帰らずずっとここにいたい」


「宿題なんにもやってない」


 ここまでは子供だけど、最後は愛するパパちゃんである。


「で、何時に出るの? てか、今からどこいけばいいんだっけ?」


 何回も説明してるのに! なぜ理解していないんだー!大人の君が!飛行機に乗るためには、時間通りにホテルを出て、港に向かい、移動しなければいけないから、十二時にはシャワーを浴びて、さらにはみんなが脱いだ水着を私が洗濯して何となく乾かしてスーツケースにパッキングするんだってば! って、もう三回目だけど、説明を聞いている風を装い聞いていないパパちゃんは、全くもって理解していない。


「これは、独裁者になるしかない」


 独裁者。それはここ最近私が嫌っている言葉の一つだった。しかし、思い通りに動かすためには、時に独裁的にならなくてはいけない。みんなの意見を聞いて、忖度してたらなんともならん。少しだけ、自分の思い描くビジョンや目的に対して独裁的になる気持ちがわかった瞬間だった。


 しかし私は飛行機の搭乗時間に呼び出しをされて、他の皆様に迷惑をかけることがないようにしたい独裁者であって、自分の意見を押し通したい独裁者ではない。


 そうは思うけれど、独裁的と家族には思われたかもしれない。


「いや。それは世界情勢とは違うしな!」


 そう、自分に言い聞かせ、独裁的にスケジュールを強行し、無事、家にたどり着いた。そして、家族はみんな南の島での汗をシャワーで流し、明日の学校や職場のために就寝についた。


「このスーツケースの中身、明日私全部片付けるんだよね?」


 今、ひとり、狭いリビングで広げたスーツケースを眺めため息をつく。


「まじで一日洗濯じゃん?」


 そんな平和的な独裁者の独り言をここに記し、今日の妄想日記、あ、なんにも妄想してない日記をしめてしまおうと思う。


 ちなみに、帰り道に立ち寄った沖縄のとある港には、「沖縄県警 立ち入り禁止」の黄色いテープが貼り巡らされた場所があった。


「これは、小説のいいネタになるな」


 そう思いながら写真を撮っている私も、家族時間よりもカクヨム生活を満喫しているようなので、有りよりの有りかと思った。家族時間よりもカクヨム。そんなフレーズが頭に浮かんだ、そんな本日は、そろそろ、この辺で。



 本日も我が家の日常をお読みいただき、ありがとうございました! もうキーボード触らなくて悶えていました。書きたい衝動ってすごいです。




****




沖縄の街を空港まで走りながら、脳内再生はずっとざわわざわわと歌ってました。



平和を祈る日々は、私の思いをはせる時間よりもずっと前から誰かの平和へ祈りへと続いています。



ひめゆりの塔や、そういった場所には今回は行かなかったけれど、日本にも戦争の歴史があり、そこから学ぶ平和な未来を作りたいと思いました。一人の意識は小さいけれど、大きくなれば、いつか戦争のない世界になるのでしょうか。そう、希望を持ちたいです。









戦争でお亡くなりになられた方々へ。




















――黙祷



















戦争のない、平和な世界を、子供たちへ。

それが大人のお役目だと私は思っています。


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