第76話 KAC2022満喫中のため手抜きしてしまった件
本日は、KAC2022の新しいお題が出るという噂を総合案内で見つけたので、朝からちゃんと専業主婦をこなし、自主企画の作品紹介を書いている、真面目すぎる私。
だって、今日は三月十一日。二時四十六分には心を穏やかにして、黙祷をしなくてはいけない。これはもう毎年の恒例黙祷だからである。と、いうわけで、今日一日のスケジュールをちゃんと立てる真面目な私。大体起床時間が朝の九時半過ぎというところからして、多分真面目である。だってしょうがないじゃない、昨日は朝早くから深夜まで起きていて、計算したらなんと二十一時間も起きていた。そりゃ朝遅くまで次の日寝てもしゃあないと、自分を正当化したのである。
というわけで、朝から作品紹介を書いていたら、十二時過ぎに仲良しの風鈴ちゃんが、
『KAC次のお題、『お笑い/コメディ』だよ!チェックして!』
と近況カフェに伝言を残してくれるもんだから、おお! それはそれは、ではいったい何にしよう? と急いで作品紹介を書き終えて、早速KACのお題である『お笑い/コメディ』に取り掛かったのだった。
えらい! これで日記の部分は完成したじゃないか! あとは妄想の部分だ! でもそれはあれだ! タイトル通り、手抜きさせてもらって、いいや違う違う! よくあるやつやん。エッセイから一話切り取って、カクヨムコン短編にしてます。的なやつ。あれの反対バージョンですって。それをエッセイにも転載しときまーすって、そこはしれっとしちゃえば、ありよりのありかなーということですって。だって、こちらはお読みいただいていても、わざわざそちらまでいかないかもしれないですやん! そして、あちらでもう読んで、こちらにきてくださった方は、さくっと飛ばしていただければ! と、そんな感じはありでしょうか?
今回のお題は結構すぐに浮かんできて、楽しく書けた気がします。なかなか楽しいお題でした。自分としては、妄想力を楽しく発揮できましたね。うんうん。なかなか気にいっております。
なので、本日は、それをこちらでもご紹介させてください。タイトル通りですいません。本日もお立ち寄りいただき、誠にありがとうございました。それでは! 本日のKAC2022 第四段!『お笑い/コメディ』をどうぞお楽しみくださいませ。(自分で言うなって? てへへ)
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『 お笑い界のレジェンドらぶ&ぴーす誕生 〜永久不滅の絶対王者〜 』
ここは集合意識の国「Collective consciousness(通称:クリコン)」である。ここクリコンでは、年に一度、国をあげてのお笑い大会が開催されることになっている。どうやら、今日がその日のようだ。国内中の我こそはと思う強者どもがこのお笑い大会にエントリーし、熾烈な争いを繰り広げる。ここで王者となったものは、クリコンの国民たちが創造している世界、惑星アースのその後の一年をクリエイティブできるのである。まさに、神の称号に値する地位を築くことができるこの大会は、国をあげてのお祭り騒ぎなのである。今、まさにその決勝ステージの最後の一組のようだ。何やら、意気込みを見せる二人組がステージの袖で待機中である。
「はぁ、ついにこの日がやってきたで! ヤミ君」
「せやなぁ、ヒカリちゃん。この日のために、厳しい生活費を切り詰めて、ネタを練って何回も練習してきてんもんなぁ」
「せやて。まじで生活カツカツやったわ。食べれへん日もあったくらいやもん。せやけど、ここまできたんや、残すところ、あとは決勝で一番とらなあかん。そしたら一躍有名人の大金持ちや!」
「せやな! 残すところあとは俺らのステージだけやもんな。ここで巻き返して、あいつらに勝たなあかん!」
ドキドキしながら、薄暗い袖で登場を待っている二人組の番がやってきたようだ。ステージの上から、真っ赤なスパンコールのスーツを着たおじさんがマイクに向かってコールをし始めた。
「それではクリコンお笑い大会決勝戦! 残すところあと1チームになりました! エントリーナンバー888番! らぶ&ぴーすのお二人です!どうぞ!」
会場から湧き上がる拍手。ゴクリと唾を飲み込み、このお笑い二人組は右手を上げて、ハイタッチをした。そして、
「「行くで!」」
と声をかけあって、スポットライトが当たり、審査員が険しい顔でずらりと並ぶ、輝かしいステージへと、手を叩きながら飛び出していった。
「「どうもぉ〜! 」」
「この世界の光は私が作る! いつも元気はつらつ! ヒカリンでーす!そしてこちらが!」
「この世界の影は僕が作る! いつも陰気なヤミくんでぇす!」
「「二人合わせて! せーの! らぶ & ぴーす!」」
「ちょっと、ヤミくん、今日もちょっと陰気臭いで。その匂いなんとかならんの?」
「そんなこと言ってもヒカリン。僕はこういう匂いを出しているからこその僕なんであって、そこはもう、あぁ、たまらへんこの匂い、お父さんの枕の匂いやわぁ言うて、くんくん嗅いて欲しいねんよ」
「アホか! そんなんだれが嗅ぐちゅうねん! そんなん好きなんは、加齢臭漂うけど、そんなあんたのことが好きぃゆうて、脱いだ服の脇のとこ嗅ぐぐらい愛のある夫婦くらいのもんや!」
「それならほんま幸せですやん。ねぇ、みなさん。どう思いますぅ? そんなん幸せですやんねぇ? ほら、ヒカリン、お客さんもそない思いますいうてる顔してるし、せっかくやから、僕の匂いをもっと間近で嗅いでくださいよぉ」
「うわっ! まじないわ! こっちこんといてぇ!」
「そんなん言わんと、ほらほら、ここの脇の辺りとか、首筋とかたまりませんて」
「そんなところ嗅いだら倒れてまうわ! やめてぇヤミ君!」
「そんなん言わんと、ほらほらぁ、ここですよ、ほらここここ。こんなくらいのことも許せへんのやったら、家庭円満なんて実現できませんよぉ」
「確かにぃ、確かにぃせやけどな! 確かにぃそんなくらいの愛ある家庭が一番幸せやって思うけどな、そんなん言ってあんたの匂い嗅いだかて、私が幸せになるとは限らん!」
「もう、そんなにひどい顔して、嫌々いうならいいですわ。僕もう、あなたとのコンビは解消します。僕の匂いを喜んで嗅いでくれない人なんて、もう、一緒にいられません」
「ちょ、ちょま! そんなことくらいでコンビを解消したら、この世界から、ささやかな日常の幸せがなくなってまうやろ? そ、それは、あかん。それだけは絶対あかんのや!」
「せやったら、ほらぁ、僕のこの辺り、どうです? この首もとのあたり、嗅いでくださいって」
「う、ううう、うん。しゃあないな。少しだけやで? ほんま、すこーしだけやでぇ?」
「ほら、ここですって。そうそう、そこ、あっ……♡ 」
「へ! 変な声出すなって! もうヤミ君それは家に帰ってからやで!」
「そうでしたそうでした。はい、もっとでは嗅いでくださいよぉ。ほらぁ。ここですって。ここ、ここ……あぁっあふん♡ あぁ、鼻息がかかってたまりませんねぇ」
「陰気くさっ! やっぱり陰気くさいって! もうほんま陰気臭すぎるわ!」
「そんなんいって、本当は僕のこの匂い、なんかクセになるんちゃいますぅ?」
「く! くせになんか! くせになんか、く……なるなぁ♡ なんか、こうもっと嗅いでたいって気分になってきたわぁ」
「でしょぅ。なんかくせになるでしょうこの加齢臭。これがくせになるっちゅうことは、僕たちの関係は!」
「「らぶ & ぴーす!!」」
「何やらすんじゃ! 身体が勝手に反応してしまったやんか!」
「へへへ。そういうところがヒカリンの可愛いところですねん」
「せやけど、ヤミ君、世の中あれやで? この何個か前に漫才してた、ふーあん&きょーふーに結構の点数取られ始めてんで?」
「ですよねぇ。ふーあん&きょーふーは、今年の一番ライバルですよねぇ。あの、目を背けたくなるような怖いのがやっぱり好きなんでしょうかねぇ、ほら、ホラー映画とか、怖い怖い言うてみたりするですやん」
「アホやなぁヤミ君。それはエンタメやでおもろいんやで? ほんまの世界でそんなんあったらおしっこちびるどころの騒ぎやあらへんて」
「おしっこちびったことあるんですかぁ?ヒカリンは」
「あ! あるわけ! あるわけない! ないって! そんなん漏らすんわ気持ち良すぎたときくらいのもんや! 」
「え? 気持ち良すぎたときってどんな時ですぅ?」
「それはあれや、感じすぎたときや! って何言わすんじゃい!」
「ほほう、その話もっと聞いてみたいですやん? ねぇ、お客さんも聞いてみたいですよねぇ?」
「アホ抜かせ! それは想像で読むからいいってもんじゃ! 大体怖い話はリアルで起こったらそれはもう怖い話通り過ぎて悲劇やで!」
「確かに悲劇ですよねぇ、それは」
「あんな、悲劇ってわかるぅ? 罪のない人たちを大量虐殺したりすんねんで? 誰がそないな世界を望んでますゆうねん! そんな世界をクリエイティブしても、誰も幸せになれへんて!」
「そない言われましたら、そないな気がしますねぇ。さすがいつも元気はつらつのヒカリンです! そんなヒカリンが大好きです! そんな僕たちの関係こそ!」
「「らぶ & ぴーす!!」」
「何やらすんじゃ! また身体が勝手に反応してしまったやんか!」
「しかしあれですよねぇ」
「無視かいっ!」
「確かに怖い怖いがリアルだと悲劇ですわ。そないな世界絶対あったらあきませんね! やはり今年は僕たちがなんとしてでも一番とらへんと!」
「そうそう、そういう真面目な話がしたいのだよヤミ君!大体あれやって、どっかの変な思想を持った奴が一匹出てきて、強烈にそんな悲劇し始めたら、世界はおかしくなってまうってもんや」
「せやせや」
「光がないと影はできへんやろ?」
「そないですねぇ。だから僕がいてますねん」
「でも、影があるから光ることができるんやろぉ? 光だけあっても、ただの目が開けられんほど真っ白い空間や」
「そないですねぇ。だから僕がいてますねん」
「せやから、ヒカリとヤミがあって、しかもヒカリの方が強気でおって、ヤミがこそっとあるくらいがちょうどいいねんて!せやからこそ、人間の人生に深みが出るってもんですわ。ヒカリばっかの経験しかせんと生きてきたら、他人の心の痛みがわかりませんて! みなさんもそう思いません? で、ヤミばっかりでしたら、それは陰気臭すぎて、もはや真っ暗闇になりますって。それを何? 怖い怖いをリアルでするとか、アホですやん! ねぇ、皆さんもそう思いますでしょ? そんなんお笑いちゃうわ! それこそ悲劇やで!陰気くさい〜、加齢臭くさい〜、でもなんかこの人生の味わい深い匂いがくせになるぅゆうて、愛し合ってる日常が一番幸せですねんて!」
「ヒカリン今日はなんだか熱く語りますねぇ。そんなに僕のことを愛してくれてたとは! そんな僕たちの関係は!」
「「らぶ & ぴーす!!どうもぉ!ありがとうございましたぁ!!」」
こうして持ちネタを全開に繰り広げた二人組は、盛大な拍手の中、ステージ袖へと戻っていった。
「出し切ったね! ヤミ君!」
「せやな! ヒカリちゃん!」
「やっぱり世界中の人たちの、普通の日常が幸せにならなきゃ、本当の意味での世界平和は成し遂げられんよね!」
「せやせや! それが惑星アースの人類の最大の夢やからな!」
「「ふーあん & きょーふーには絶対一番とらせへん!」」
***
こうして、集合意識の国、通称クリコンの国民たちの手によって、惑星アースでは、人類の最大の夢であった「世界平和」な世界が作られたのであった。そして、このお笑いコンビ『らぶ & ぴーす』の二人は、この集合意識の国でお笑い界のレジェンドとなり、何年も王者を守り抜いたあと殿堂入りを果たし、今もなお、王者として君臨しているのであった。
世界が優しい光に包まれますように。そして、戦争のない世界になりますように。祈りを込めて。
――黙祷。
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