第38話 妄想カムバーク!

 自分で書き出したとは言え、妄想ではないものを書くことの大変さを知った先週末。やっと日常の妄想を取り戻したはずの今日は、さて、なんの妄想をしようかなと、脳内妄想ストックを探る。


 あぁ、昨日の面白い日常たちよ、なぜ今日は私の脳内に現れてきてくれないのだ。あんなにも面白いことがあったじゃないか。昨日のページは真っ白か!? そうか、それが俗にいうところの燃え尽き症候群ってやつだな。確かに四回に渡る真面目に書いてるやつは結構エネルギー使ったわな。しゃあない真っ白も許してやるか。


 よし、ではお料理妄想はあるか? 是非読みたいとリクエストをいただいているのだが。超ド級のSクラスなものがいいな。ハードな感じの。いや、それよりも濡れ場が多めのやつか、滴るくらいの濡れ場、そんなのないか?え? 本日は包んで焼くだけのハンバーグだしなって? そうだな確かにな。アルミ箔の上に袋から出したものを組み合わせてオーブンで焼くだけだもんな。身悶えしながらたぎるシーンはないな確かに。激しく口で噛みちぎり袋から出したハンバーグのねっとりとしたソースが私の指にまとわりつくってことぐらいしかないわな。はい、それ、もうなしよりのなしで。


 ではこないだサバを捌いたやつ引っ張り出してきて、書いてみようか、ちょっとそこ見せて、ほら何日か前のやつ、そうそう、そこそこ、もうちょっと横、あ、それそれ。あ、これは、そうだな、うん、やめとこう。それでは多分グロすぎるホラーになっちまうな。私はサバのはらわたを手でえぐり出し、まじまじと見つめにやりと笑った。サバが、もうやめてくださいと懇願するような血走った目でこちらを睨みつけてくるが、私はそのはらわたをえらから引きちぎり、顔に飛んだ血飛沫を手で拭いながら、子供たちに見せた。ほら、この内臓のこれがアニサキスよと言って、くらいしか思いつかないわ。


 よし、じゃぁんと、そうだな、そうだな。ちょっと次のページめくってくんないかな。そうそう、そこそこ、今日のお昼あたりはどう?


 え? ほぼほぼ昼寝してたっぽいって? 失礼なそんなことは!……うん、12時過ぎまで二度寝してるっぽいね。確かに。てことは、日記というだけあって今日のことをできるだけ書かなきゃなって思ってるわけだけど、今日の面白いことはなんかなかったわけ?その他に! 私が昼まで寝てしまったこと以外に! え?歯磨きした記憶あるって? ある・・・よ? 多分、いや失礼な、磨いたし! 今日旗当番行く前磨いたし! もう変なこと言わないでよね! 誰が聞いてるかわかんないんだからさ!


 もういいや、じゃぁ、夕方以降は? ほらなんか一個くらいあるでしょうに、え? あれはどうかって? どれどれ見せてみてよ。あぁ、これね、これ面白いかしらね。どう思うよ。え?ないよりはマシだって? 確かにぃ。じゃ、それいっとく?


 えっとでは今日の妄想ですが、先ほど一番ちゃんを塾に送るときに、車の中で一番ちゃんが、


 「お母さん今日の給食めっちゃ美味しかった!」


 というので、ほうほう、それは良かった、何がそんなに美味しかったの?って聞きましたらば、


 「あのね、かぼちゃのクリームで、パイを包んで、片栗粉をまぶして揚げたやつが出たの。今度作ってみて、じゃぁね〜」


 と塾にちょうど着いたので、車から降りて行きましたのでございますよ。もちろん私はいいお母さんのつもりですからね、それは早速と思って、昨日焼肉で使ったカボチャがまだあるし、明日にでも再現してやろうと思ったわけですよ。でもその前にレシピを確認しなききゃとね、いつもの妄想脳内再生ですよ。


 まずはかぼちゃを茹でて、マッシュして、そこに少し塩なんか足してみて。うん、ちょびっとバターを削って入れるのもいいな。もうこれは、そこにレーズンと玉ねぎスライス追加してヨーグルトでも混ぜて、上にローストしたくるみでものっけちまったらオサレなデパ地下サラダの完成じゃないっすか。と、そっちじゃなくて、まずはかぼちゃのクリームだから、マッシュして塩くらいでいっか。行き過ぎた妄想は火傷の始まりだ。


 で、次にパイね、パイ。うん冷凍庫にパイ生地あったわ。じゃ、それでいいねお手軽ぅ!


 で、えっとなんだっけ、ガボチャのクリームで、パイ生地を包んで、なんか違和感だけど、できなくはないはずだ。まず冷凍パイシートを折りたたんで四角にして、それにクリームを、かぼちゃのクリームを、あれ、なんかちょっと緩くて手についちゃうな。でもまぁ、なんとかなるか、よし、クリームで包んだぞ! なんとかなったぞ! で、なになに、その後片栗粉をつけて、そんでもって、油であげるってか、えっと、えっと、なんか、なんか、爆発しそうなんですが。これ、中膨れてきてるんですが! 怖すぎなんですが! ぎゃー! 爆発したーーー! 大火傷じゃん!!


 うんごめん、これ今脳内再生でやってみたけど、無理ゲーなお料理だわ。どうやって給食の人作ったんだろ。もう、私のレベルじゃできないやつだ。


 おい脳内再生よ、これ、あんまり面白いネタじゃなかったぞ! どうしてくれるんだ! 無駄に指を動かしちまったじゃないか!


 え? じゃぁあれは? って、いやぁ、それ書くと宣伝みたいになっちゃうじゃん。え? そういう意味じゃないって、まいいから書いてみろって? そ、そう?


 えっと、カクヨムコン最終日ということで、お知らせ通知がいろいろきて楽しそうなので、今書いてるお話の中から一話抜き出して、参戦してみました。


 全然面白くないじゃん。オチも何にもないじゃん。え? それいつ書いた話なのって? えっとね、ちょっと待ってって、あ、わかったよ、今見たところ一月六日かな。え? バカなの?って? なんでだよー!なんでバカなんだよー!


 カクヨムコン今日最終日じゃんって? そうだよ ! だからもう最後だしと思ってやってみたんじゃん。みんな短編出してるし、カクヨムさんたちの仲間入りしたかったんだもん!


 え? もっと早く出せたじゃん? って?あ、そだね、そうだけどね、忘れてたの。でもいいの、おかげでコメント欄で遊べたからって、これこそオチなくね?!


 もういいや!子供会ネタで頭使い果たしてまだ妄想カムバックしてなくて、パッとするデータが脳内に残ってないので、本日は妄想日記を書くことをやめにしとくことにしました!


 早く戻ってこーい!

 妄想カムバーック!


 

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