第13話 聖夜の勘違い
ここに一台の卓球台がある。
この卓球台は、最近卓球部に転部したあなたの息子にぜひと、委託業務を受けた一人の母親が手配し、たった今その母親と父親によって、子どもたちが寝静まった後組み立てられた卓球台だ。
この卓球台が想像より重たく、想像より大きいことを組み立てる前の母親と父親は知らなかった。まさかこれほどとはと、二人は嘆いた。スマッシュを返すスペースがないではないかと二人は嘆いた。時折低くなってしまう三角の屋根が頭を打つのではないかと悩み嘆いた。
母親は後悔する。密林の説明は片面のサイズだったのだと今気づいたことに。
父親は後悔する。なぜ買う前に一緒に確認してやらなかったのだろうかということに。彼女の頭のネジが何本か外れている事を誰よりも知っていたのは僕なのにと。
知っていればこんなことにはならなかったかもしれないと二人は嘆いた。
だが、時すでに遅し卓球台はもう組み立てられ、今まさに目の前にある。
今から無かったことにしようかと父親と母親は話し合う。だがしかし、他の四人にはあるものが自分にはなかったと知った息子を思うと不便でならない。
父親と母親は覚悟を決めた。
「頭を打っても、スマッシュをうける場所がなくても、まいっか。」
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