第11話 やらねばはじまらぬ。何事も?

 コロナの新しい変異株が市中感染しているというニュース。おお怖い怖い。と思いながらも我が家では週末リアルガッチーズ(いつも集まる七家族の子ども達とその母)でクリスマス謎解き予定である。もちろん感染予防はするが、小分けにしてやることになりそうだ。


 ただいま『ガッチーズと怪党キューピー』なる子ども向けの物語をカクヨムで執筆(きゃ❤︎言ってみたかったこの言葉)しているわけだが、それはもともと、いつも集まるメンバーとのお楽しみ企画で、いつも集まる中でも気の合う友人と二人で企画した謎解きチーム名から来ている。


 一番最初は数年前の夏休み。いつものお泊まり会で何か面白いことをしようということになり、使ってない屋根裏部屋でお化け屋敷をやらないかと冗談で話してた私たちは、それでは? と段ボールを集め、いくつかの部屋に分かれたお化け屋敷を2時間ほどで完成させた。ちなみにお泊まり会はその次の次の日。全く持ってのアホである、計画性なさすぎである。


 でも時間がないからこそ燃えるのである。


 《昔々、古屋敷の主の目玉が盗まれた。主は恨み、今でも盗まれた目玉を探していると言った感じの前置きストーリーがあり、家中に暗号などが散りばめられている謎解きを仕掛け、最後にお化け屋敷でお札を探し出して取ってくるという自作自演の手作り謎解き脱出ゲーム》


 「目玉返してくださ〜い。目玉返してください。私の目玉。目玉。め〜だ〜ま〜返してく・・だ・・さ・・・い・・・ぃぃぃ・・・・」


 と、スマホに私が録音した声が、真っ暗な屋根裏の通路を進むと聞こえてくる。中に入ると、ほぼ真っ暗で何も見えない。足元には人工芝。夏だからほぼみんな裸足の足に芝が変な感触で刺さる。LEDキャンドルが所々灯る中、ペンライトを持った子ども達は目玉を探して、最後にお札を取ってくるミッションに向かう。ほぼ真っ暗なので、危ないからと蛍光塗料のついたマスキングテープが進む方向を示す。


 目玉返してください〜とスピーカから流れる多分恐ろしい声を聞きながら、子ども達は二人一組で屋根裏部屋を進んで、


 ミッション「目玉を探して古井戸に返し、代わりにお札を取ってくる」を成し遂げるために子供たちは奮闘する。


 真っ暗な中、最初の鴨居をくぐると、ホームセンターで購入してきた人を感知する防犯ベルが


 「ピーピーピー!」とけたたましく鳴り響く!


 この音を聞くと、入り口の手前にいる私には、ちゃんと順序よく進んでいるのがわかると同時に、音を察知して呻き声を上げながら歩き出す20センチくらいの、顔が赤く光るホラーな人形達四体が動き出す。これがなかなか怖い。密林で購入したものだ。


 子ども達はお化けという名の密林で購入したおもちゃが、呻き声や叫び声響く真っ暗な中、目玉を探さなくてはいけないから必死に怖さに耐えて、ペンライト片手にお化け屋敷を進む。


 実は目的の目玉は、鴨居をくぐった左側の奥張ったところに、ひんやりとする自作のスライムの中で浮いていて、子ども達を待っている。


 ガラス瓶に入ったピンポン球の目玉は結構リアルで赤いマニュキアで血塗られているのだ。ひー!と自分で言っておこう。でもなかなかリアルである。


 屋根裏部屋の中はダンボールで区切られたいくつかの小さな部屋の凹みがあるのだが、大概1回目はこの鴨居をくぐった、目玉の置いてある左側の凹みに気づかず怖くて走るすぎる。


 思惑通りである。


 鴨居をくぐり抜けて、コの字の狭い通路を抜け低い天井をくぐると、真っ暗な部屋に出るのだが、ペンライトで照らしながら歩くと、ちょうど出た正面にあの有名なS子さながらな光に反射するシールが貼ってある。失神ものである。かくいう私や一緒にやってる友人も、この子怖すぎ! と言って、仕込みの時も直視できないくらいである。


 今もなお目を背けるくらいだ。マジで発狂ものである。


 その後も、ゴム手袋で作った真っ白な手が天井からいくつもぶら下がる部屋や、なんやかんやを叫び声や呻き声を上げながら歩き回る小さなおそろしい顔をした人形が歩き回る空間をすり抜け、最後の部屋にたどり着く子供達。


 だがしかしまだまだゴールではない。ホームセンターで買ってきた、膨らますタイプのカラス避けの上半身に、百均で購入した黒いマントの宇宙人のマスクをかぶったキャンプ用のスタンドが立っていて、その下にあるこれまたホームセンターで買ってきた大きな黒い植木鉢が中が見えないように置いてある。実はそれが古井戸なのであって、そこに目玉を入れて、代わりにお札を取ってくるとミッションクリアなのだ。


 ふふふ。古井戸の中にも実は赤い顔を光らせてガサガサ動く娘っ子が一体いる。きゃー!である。多分。


 宇宙人のスタンドに付けられたマントの中には、スタンドの棒に養生テープで括り付けられた、叫び声を上げながら顔が赤く光る娘っ子がここにもいる。密林で買った四体のうちの一体だ。娘っ子はなんと光るだけでなく歩くがゆえ、養生テープで括り付けられていると、ガサゴソ動く。そして顔が赤く光るから、黒いマントには赤く光った顔だけが浮かび上がる! 超ホラー!である。


 いうまでもなく、子どもたちは大興奮!屋根裏へ向かう階段には長蛇の列ができた。夏休みということもあり、お泊まり会が解散した後も、我が家の子ども達が近所の友達を連れてきてはお化け屋敷を楽しんだのはかなり嬉しい体験だった。


 この時から、ハロウィンはもちろん、クリスマスまでも、


 「サンタクロースはUMAか!?」と言う謎が入ったポスターを家中にはり、「我々ガッチーズUMA研究所はそれを調べているから手伝ってくれたまえ。」などとぬかして子ども達を巻き込み、出てきたQRコードを読み込んだ先にある動画で、怪党キューピーなるものから挑戦状が届く!などと楽しんできた。


 コロナで集まれなくなり、もうしばらく経つがこのお楽しみの興奮は未だ忘れられない。ということで、めげない私たちガッチーズ中の人は、


 「我々ガッチーズ中の人はコロナになんか負けないぞ!」


 と年賀状にQRコードを忍ばせ、公式LINEに飛ぶようにして、オンラインで自動で謎解きができるようにしたり、子ども達が大好きなFから始まるゲームのクリエイティブで必死にYouTube見て、パスワード付き脱出ゲームを2度ほど自作したこともある。


 マジお母さんコントローラーとか使い方わからんけど頑張った。


ゲーム実況動画も勉強し、実際に動画にして告知までした。ここまでやるかガッチーズ中の人って言わしたくて!!結果、思った通り!動画でいつもゲーム実況を見ている子ども達は大爆笑!


 おっほっほ!そうそうその大爆笑が見たかったよ子供達よ!超大成功!


 「オンラインde節分会だよガッチーズ! 鬼を倒してゴールせよ!」


 そのゲームは、鬼ならぬクリーチャーを倒し、謎を解いて最後パスワードを打ち込みゴールするというもの。



 「やればできるがやらねばできぬ。」


 まさにそのものズバリ! ゲーム機さわったことがなくてもできた。おお!すごいぞ四十二歳主婦!なんでもやろうと思えばできるものだ。


 その後も、遠いところへ旅立ったリアルガッチーズの子どもから、


 「ガッチーズさん謎解きください。待ってます!」


 と新学期始まってすぐに手紙をもらい、行った事もない島をネットでくまなく調べ上げて、島丸ごと謎解き脱出謎解きゲームを発案した。ネットが当たり前の現代に郵便でやりとりしていたが、半年以上たった先日にやっと完結した。長かった……。多分謎解きスキルが弱いのだろうと最後は簡単にしてあげたから解けたのかな。ドンマイ!


 でもとても楽しかったようで、リアルガッチースなその子と一緒に生活している、いろんな県から来ている子ども達も、新たなガッチーズファンになったらしい。会った事もないその子達からもお手紙をいただき、ありがたき幸せであった。



 「やばい島ってことは、海を越えたやん!」


 そんな可愛い子供たちに、いつか会えたらいいなと妄想する日々だ。


 変異株のコロナ。大丈夫なのかとニュースを気にする毎日であるが、またいつか、みんなでわちゃわちゃ謎解きしたいなと思っている。でも、今はできないから、まずはガッチーズの物語を一方的に15人しか登録していない公式LINEに


 「連続LINE小説 ガッチーズと怪党キューピー」


 と銘打って送り続けているのである。熱心な読者は数名しかいない(笑


 そしてやってくる今週末。久々にリアルがチーズはコロナに気をつけながら集まる。私は、きっと子ども達が連続LINE小説を読んでくれているだろうと期待して、小説に出てくる謎の小包を今から作成する。


 できるかな?また日にちがないけれども??


 妄想と現実のギャップを埋めるのは、「やるかやらないか」だけならやるしかないなと腹を括って頑張ろうとおもう!

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