第9話 本日のトカゲ性転換疑惑 


 トカゲ性転換疑惑を持ってから1ヶ月ほど経つのだろうか。我が家の窓際にいるトカゲちゃん達は今日もサンドにお腹をつけて温まっている。時折ガサゴソ動くが、寒くなってきたせいか暖かい場所が元々の住処の二匹は最近動きが弱い。


 「大丈夫? 寒くない?」


 と家事のついでに時折除いては声をかけたり、頭を撫でたりして日中過ごしているわけだが、昨日、ついに私は見てしまった気がする。


 ガサガサガサ ガサガサガサガサ


 いつもより大きな音が聞こえ、パソコンで「ガッチーズと怪盗キューピー」を打ち込みながら執筆(やだ。ちょっとかっこいい❤︎ 言うのは自由❤︎)なるものをしていた私はガラスケースに目をやった。


 きゃー! 上に乗ってるドラちゃん! 嫌々しているペーちゃん! それを押さえ込もうとしているドラちゃん! さらに逃げるペーちゃん!


 これはもう! あれですか? 


 まさかの?


 交尾?


 脳内再生が始まる。


 「もう寒くなってきたし、そろそろどうかな、しようよ。子孫を残さなきゃ。」

 

 「僕はまだそんな気分にも身体にもなってないんだよ。」

 

 「いやもう機は熟したはずさ。ペーやんの身体は僕を受け入れたがっている。」

 

 「そんなことはない。僕はまだ僕であって私ではない。自分が一番よくわかる。」

 

 「それはこれからしてみればわかるさ。僕なのか、私なのか、そんなことはどっちでもいいんだ。」

 

 「でも、まだ僕は心の準備もできていない。」

 

 「僕が教えてあげるよ。」




 ・・・・うん。やめよう。これはいけないやつかもしれない。脳内再生停止。


 どなたか、この妄想の続きを書いてくださったら、わたくし恐る恐る読むかもしれません・・・・。わたくし、こう言う脳内再生は寸止めですので。愛する夫以外のイメージはなんだか後ろめたい気持ちになってしまって。いつか小説家になりたいと思いながらもその辺りは絶対書けないと思いますので、なので子ども向きなものであれば後ろめたくないかなと思いまして。ええ。好きで読む作品と書きたいものは違うってそれでもいいですよね、って言うか、小説家になりたいなんて大そうなことを申しまして、でも言うのは自由と言うことでそのあたりは流していただけましたらと。



 ということで観察再開。


 本当に交尾だったのか? 今のは? 


 決定的瞬間を見てしまったのだとしたらすごいなと思いながら、そういえば私以前まさに決定的瞬間見たわと思い出す。


 東山動物園の象さんの交尾を子ども達と見た。あれはすごかった。アジア象のまさにその瞬間を見たのだ! 検索してみると2013年赤ちゃん誕生とあるから、その子がまさにそうなのだと思う。子ども達が小さい頃、入場料が安いからと何時間かかけて行った東山動物園。まさに今! という瞬間を子どもと一緒に見て、


 「お母さん、象さん喧嘩してるの?」


 と聞かれ、聞こえないふりをしたのも思い出した。今なら交尾してるんやわと言えると思うけど、なんて言っていいかわからなかった当時の私。私のお腹にもきっと誰かいたと思う。常に妊婦か授乳中かだった時代だ。ふふふ。なので、言えない、なんと言っていいかわからない私だったのだ。赤ちゃんができるのよ、っていえばよかったのか? うん、まだそこまで私も心の成長ができてなかったと思われる。


 その後、赤ちゃんが生まれたニュースを聞いて、まるで自分の子どもに会いにいくように赤ちゃん象を見に行った。赤ちゃん象を見た時のあの時の感動! 


 「あぁ! あなたがあの時の!!」


 思わず叫んでウルッとしてしまった。


 「まさにあなたができる瞬間を私は見たのよ!」


 これも声に出して言った。それくらい感動したのだ。命の誕生の生まれるじゃなく、できる瞬間に立ち会えたことに。ん?



 よかった。カクヨムは子ども達は読むことができなくて。



 トカゲ性転換疑惑。私の昼中のお楽しみはまだまだ続きそうである。

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