第4話 そして今の日常
入院していた妻は、次第に体調を回復し、数週間後には家に戻れるまでに回復した。二女も出産翌日からの様々な検診で健康面で全く問題がない事が確認された。
本当に幸運だったとしか言いようがないし、手術を執刀して頂いた先生には感謝しかない。
その後、妻が退院してからの私の育児と家事にかける時間と情熱が凄まじかったことは改めて書くまでもないだろう。何から何まで至れり尽くせりのサービスを提供していた気がする。生きて一緒に暮らしてくれているだけで感謝である。
まぁ、もちろん人間、喉元過ぎれば熱さを忘れるともいうので、数年を経て今は、並程度の主夫に戻ってしまっているわけだが。
しかし、当時を振り返って今でも不思議なのは、あの日の14時の出来事である。
人生で初めて体験した痛みと吐き気で倒れた14時。
そして妻が大量出血をしてタクシーを呼んだ14時。
こんな偶然のリンクはあり得るのだろうか?
その後、普通の頭痛に襲われることは何度かあったが、
あの日の苦しさとは全く比べ物にならない。
あれはやはり異常な苦しさだった。
そして後から先生に確認したところ、妻が手術をしていた時間と私が駅で倒れていた時間は、ほぼほぼ重なっているのだ。
そう考えると、妻や娘に何の後遺症も残らず無事に退院できたことは、本当に単なる偶然の出来事だったとは私には思えないのである。
あの時、私の身に起きた死にそうな苦しみは、妻や娘に降りかかるはずだった災難を減らす為に必要な犠牲だったのではないか?
そんな考えが頭をよぎってしまうのだ。
無神論者として我ながらバカバカしいと思うがそれでも、
霊的な何かや、はたまた神仏的な何かの存在を感じずにはいられない、
そんな不思議な出来事だった。
出産と頭痛 @kuunerutaberu
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