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「あたしって宇宙人なんですか」
彼女は真剣な顔で僕にきいている。
「誰が言ってたの、そんなこと」
「いろいろな人が、あなたのまわりの」
「気になりますか」
「ちょっとだけ」そう言って彼女が微笑む。
「大丈夫ですよ。からかっているだけですから、みんな」
「喜んでいるんです。あなたみたいな人がお嫁に来てくれるので」
「わかっています」彼女がやさしく僕を見た。
お見合いでこんないい人に巡り合えるなんて僕はついている。僕には時折見せる彼女の不安そうな表情が気がかりだった。教会の控室に僕と彼女がいる。僕は宗教を信じているわけではない。彼女がそうしたかったから。ただそれだけ。
「結女さんは来ないんですか」
「あいつは遠くに行ってるんだ」
「宇宙の果てに」
最後の言葉が消えそうになる。控室にたくさんの縁者が入ってきて、僕と彼女は二人きりではなくなった。僕は少しだけホッとした表情になる。
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