畑のミョウガと素麺
2022年7月17日
キーッ…バン!
キィィィィ…バタン!
ピンポーン。
(あぁ、前にもこんな出だしがあったなぁ——と思い出し、今回は音のみ。)
玄関の外からそんな音が聞こえてくれば、まず手に取るのは印鑑。そんな時期ですね。
はい。いよいよ、お中元の季節がやってきました。
お中元といえば、ハムのCMを思い出しますよねぇ――なんて言った日には、歳がバレてしまいそうですが。あれ? あのCMは、お歳暮だったかな?
さて皆様は、どなたに何を送りますか? 我が家は基本、酒、酒、酒。呑兵衛しかまわりにおらんのかっ!———ていうくらい、本当に呑兵衛しかおりません。もちろん、送る方の好みに合わせつつですが。いつもお願いしている酒屋さんももう慣れたもので、行けば今年のおすすめを出してきてくれます。
さて、そんなお中元の時期になると、隣の県に住む叔母から必ず送られてくる荷物があります。夏に非常に重宝するあれ。
素麺です。
素麺が届いたら、普段ほったらかしの家の東側…アパートとの間にある小さな畑を見に行きます。ついでにまわりの雑草を抜きつつ、お目当てのあれの収穫です。
【ミョウガ】
私が「師匠」と呼ぶのは、お隣の奥様。
「これ、その辺に植えておきなさい。」と、ヒョロリとした白い根っこを渡されたことが師匠とのご縁の始まりでした。まさに、師匠の家との間。人ひとりがやっと通れるぐらいの隙間で、私が長袖長ズボンという虫対策バッチリの服装に、つばの広い帽子を被り、首周りにはタオル、両手に軍手、その手には鎌とゴミ袋という出で立ちで草むしりをしている最中のことでした。
師匠の家からは、西側の小さな畑にあたる場所。そこから何やら白っぽい? クリーム色っぽい? 少し長い根っこを私に差し出した師匠。
「その辺」と言われたからには、まさに「その辺」に植えるべきだと考えた私は、その狭い空間に囲いを作って畑を作ったわけで。そしたら、いつの間にかそこは、雑草に囲まれてはいるけれど、立派なミョウガ畑になりましたとさ。
師匠、ありがとうございます。
なーんにもしなくても、毎年勝手に出てくるそれは、超優秀な薬味。狭い畑で蚊と格闘しながらミョウガを収穫したら、表の畑のシソと、グリーンカーテンのキュウリと、リボベジの小ネギも収穫!
そう、我が家の素麺は、冷や汁でいただくのが定番なのです。
【冷や汁】
本来なら、すり鉢とすりこ木でごりごりごりごりと、ひたすらごりごりするものなのですが、これが一人でやると結構大変。なので、最近は専らフードプロセッサーにお任せです。
キュウリは薄く輪切りにして、塩もみ。
胡麻は軽く炒って、シソとネギはみじん切り。
フードプロセッサーで胡麻とシソと小ネギを潰して、そこにだし汁を入れて味噌を溶き、最後に水気を絞ったキュウリを入れて、千切りにしたミョウガを足せば完成です!
後は、素麺を茹でるだけ。
仏壇に素麺と冷や汁それぞれを一口サイズでお供えするのも、この時期ならでは。もう何年も前に他界した父が冷や汁好きで、暑くなると仕事の休みのたびに作ってくれたのです。
しかしまあ子供の頃の私は、ご多分に漏れず冷や汁が好きではなくて。麺つゆに天ぷらの方が好きだったなぁ。———なんて、父が作ってくれた冷や汁に感謝したことが一度も無かったというね。今考えれば、非常に残念なところではあるのですが。
ごりごりを手伝わされるのも面倒で。てへぺろ。
さて、私が住む地域は8月がお盆ですが、叔母の住む地域は7月。というわけで、素麺を送ってくるのはこの時期。ミョウガが収穫できるのもこの時期ということで、プレお盆的な感じでいただきたいと思います。
亡き父に、言えなかった感謝の気持ちを込めて!
でも、フードプロセッサーでシャーッと簡単に!
さて、そんな冷や汁ですが、材料を見ても分かるように、おつまみとしても優秀!――てなわけで、父も私も一番好きな日本酒の登場です。
選ぶ日本酒は、新潟産の辛口。もちろん、冷で。
我が家の夏の風物詩、いただきます!
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