第53話 ここで飛空艇を作ってもドラゴンに叩き落されるだろう

「ここで飛空艇を作ってもドラゴンに叩き落されるだろう」


 これが俺の考えである。

 つまり、先にドラゴンを無力化しないといけない。

 具体的には捕獲して博物館に寄付するのである。


 俺たちが遺跡から出てきたら、ポルポルと骨次郎が飛び跳ねて喜んだ。


『ピピー』


『カタカタ!』


「なに? ドラゴンが上に飛びついてブレスを放って、遺跡が半分消し飛んだから死んだんじゃないかと心配してただって? 見ての通り無事だ! 心配してくれてありがとうな!」


 骨次郎と抱き合って再会を喜び合うのだ。

 間にポルポルが挟まってきた。

 硬い硬い。


「そうだ! ポルポル、ちょっといいか?」


『ピピー?』


「これがお前にセットするパワーアップパーツだ……」


 ゴーレム人形を取り出した。

 これは一見するとロボ玩具なのだが、バラバラにすることでポルポルに取り付けることができるのだ。多分。

 あ、本当に取り付けられた。


『どちらもタマル様の作った存在ですからなあ』


「それもそうか!」


『それを言われるとミーもでーす。……あれ? 何気にタマルさん、生命を創造してません……?』


「ほんとだ」


 びっくりしてたら、はずみで人形ボディが全部ポルポルにくっついた。

 うわーっ、ポルポルの砲塔の上に頭が乗ってて人の足が生えてる姿になった!!


『ピピーイ』


「やっべえ、怖い。頭は外してポイだな」


『ピピー』


 人形をくっつけるのはやめだ、やめ。

 小動物的可愛さがなくなってしまうのだな。


『待ってくだされ! これはもしかすると……ドラゴン対策にできそうですぞ』


「なんだって!? どういうことだ」


『ゴーレム人形をどうにか動くようにできれば、これを囮にしてタマル様が近づけるということですぞ』


「破壊不能オブジェクトを押しながら近づけば良くない?」


『そういえばそれもありですなあ』


 攻略法は色々あるということだ。

 一つではない。

 ブレスが出てくるまで時間もあるから、その間にDIYできることも身をもって確認した。


「接近戦だ。ゼロ距離まで近づけば勝てる」


『普通ドラゴンは肉弾戦こそめちゃめちゃに恐ろしい気がするのですが、タマル様に関しては近づけば本当に勝ちますからな』


『オー! つまり、タマルさんをドラゴンにどう近づけるかがインポータントでーす!』


「みんなで頑張る感じ? やるやるー!!」


『ピピポー!』


『カタカタ!』


「よし、ドラゴン捕獲総力戦だ! 遺跡で採集してきたよく分からん素材をまとめて素材を作るぞ。みんなでドラゴンを攻略しよう!」


「おーっ!!」


 タマル一味、えいえいおーっと気合を入れる。

 さて、準備するものは簡単だ。

 とにかく幅があって嵩張るものを作ればいい。


 石の柱。

 そして突然生えてきたレシピ、石の壁。


「タマル、全部灰色だと面白くなくない? 色を付けたりできないのかなあ」


「あ、それいいな。ヌキチータに相談に行こう」


 ゴッドモジュールを使って、タマル村まで帰ってきたぞ。


「ヌキチータ。一度作った物に色を塗りたいのだが」


『リフォームしたいんだなもし? ちょうどリフォームの概念を作り上げたところなんだなもし!』


「概念を作り上げた……?」


『これがリフォームセットなんだもし』


 ヌキチータからペンキセットをもらった。

 塗料は様々な素材からDIYできるらしい。

 これはありがたい。


「ありがたくもらうぞ! これからちょっと、リフォームした石壁と虫取り網でドラゴンに挑む」


『タマルさん、僕が聞いてても意味がわからないことに積極的に挑戦するから凄いんだなもし。ドラゴンは育ちきると、遊星種と呼ばれて星と星の間を渡る存在になるんだなもし。そうなると普通は手が付けられないので、頑張って欲しいんだなもしー』


「初耳情報!」


 ついでに、彩色洋品店で服を買ってきた。

 ギリースーツである。

 俺が着る。


 そして仲間たちの服。

 

 ポタルにカラフルな水玉柄のワンピース。

 ポルポルにチワワの被り物。

 フランクリンに肩部二連装キャノン砲。

 ラムザーには田舎の農夫セットだ!


 ポイントは使い切った。


 もどってくると、俺が持ってきた衣服セットで、仲間たちが大いに沸いた。


「かわいいー!! これすっごくかわいい!」


 ワンピースを着たポタルがぴょんぴょん飛び跳ねて喜んでいる。

 鳥っぽい足なので、靴は今度オーダーメイドでな。


『ピピー』


「あっかわいい」


「かわいい!!」


 ポルポルがチワワの被り物をつけて走り回る。

 これはいかん。

 強力だ。


 そしてチワワの口からバキューンと砲撃してきた。

 広義のブレスである。


『ミーのこれはクロースというかアーマーですね?』


「フランクリンはそのスーツ脱げないからなあ。そこにペタっと装備を付けるしかない。ちなみにそのキャノンは撃てない。見た目だけだそうだ」


『強そうなのでよしでーす』


 前向きだなあ。

 そしてそしてラムザー。

 麦わら帽子に、4つの袖がついたシャツとサロペット。


 どこからどう見ても、腕が四本ある田舎の農夫だ。

 似合いすぎている。


『我はどうですかな? ダンディーですかな?』


「恐ろしく似合う。お前、こんなにもスローライフ適性があったんだなあ……」


 ちょっと感動してしまった。

 そして俺はギリースーツを身にまとう。


『うおっ、タマル様、かなり魔人っぽいですぞ!』


『イービルな外見でーす!!』


「こわあ! こわあ!」


『ピピー』


 大好評ではないか。

 骨次郎たち骨シリーズには、洋品店でおまけに貰ったちっちゃな旗を頭に立てた。


 俺の顔をキャラクター化したものが描かれており、タマル村の旗でもある。

 パッと見、ふざけてるのかという代物だが、これこそが俺たちの証だ!


 中央にギリースーツに虫取り網の男。

 左右にワンピース姿の鳥娘と、キャノンを装備した雪だるま、四本腕の農夫、チワワ。

 そして頭に旗を立てた骨が六名。


「行くぞ、ドラゴン捕獲作戦だ!!」


▶UGWポイント

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 獲得アイテム

 リフォームセット

 

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