第64話 テンプレざまぁしてやる!?
次は『魔力量測定検査』だ。
今度こそ必ず派手に行くッ!
今度はなんせ『魔力量の測定』だからね!
この有り余った魔力を使う時が来たんだ!
きっと、この為に【魔感度】の『魔素還元』があったに違いない!
「そこの属性無しの君、一応測ろうか」
うおぃッ! 失礼なッ!
あちらこちらから笑いが起きているじゃないか!
無能のレッテルを貼られて、ラノベみたいな展開になってるじゃないか!
「早くいらっしゃい。無駄でしょうけどこれも決まりですからね。早く測りましょうか。ちなみに魔力が流せなくてもこの魔道具が体内の魔力量を測る事も出来るので大丈夫よ。そして色で魔力量を判別します──」
白、青、緑、橙、赤、黒で判別し、黒が1番魔力量が多いという判断する。緑が一般的な魔力量と説明を受ける。
サラさんとレラは緑、ユフィー様は橙色、フィアは赤、ユーリとロロは黒か……。
「……なるほど」
「そういえば半端者が珍しく緑色だったわね。脱落聖女候補が赤色なんてね……腐っても現聖女様の娘ね。貴方は何色かしらね? 早く測りなさい」
あ゛? こいつ今何て言った?
僕だけならまだ良かった──だけどッ!
レラやフィアまで見下しているこいつは許さないッ!
今、嘲笑っている目の前の女性に僕はざまぁをする決心をする。
まずは確認だ──
「貴女は先生ですよね? 質問があるんですが」
「そうですが? 質問どうぞ」
この見下した視線──腹立つわーっ!
「この高そうな水晶が壊れた時って誰が弁償するんですか?」
「今回の水晶は大賢者様特性です。試験前に私も一度使用していますが、これが壊れるなんて事はないと思いますよ? それに故意に壊さない限りは学園が負担するでしょうね」
学園か……なんとかこいつに払わせたいな。煽るか!
「え? 先生なのに魔力量少ないんですね! 実は剣士とかですか? それなら仕方ありませんね。いやー僕が測ると壊れるかもしれませんよ? 僕って規格外ですからね〜」
「あははっ、無能君が笑わせてくれるわね? もし、君の魔力量で壊れたら私が弁償するわ」
良しッ! 言質取ったど!
「──へぇ? 良いんですか?」
僕が第一号になろうじゃないかッ!
それに是非とも払って頂こうッ!
「何がですか?」
「──心置きなく魔力を込められるって事ですよッ!」
僕は『魔素還元』を使い──
水晶に触れて全力で魔力を込める──
色はいきなり赤スタートだ!
まだだ、まだ足りない──
黒に変わる──
「……こんな事が……──ってまだ出せるの!? ストップっ! 壊れるからッ! これ高いのッ! お願いッ!」
「──頑張ってお金払って下さいね?」
僕は良い笑顔で応え──
更に魔力を込める──
ピキッ、と音がなり水晶にヒビが入り──
真っ二つになると周りは沈黙する。
しばらくするとざわざわとし始めた。
「──嘘よッ! 貴方何か細工して壊したわねッ!?」
「酷い言いがかりですね? 魔力込めただけですが? それともこれが不良品ですかね? もう一度測ります?」
「──もう一度よッ!」
「ナタリーさん、私も見てましたが不正はしてませんでしたよ?」
「いいから、それを貸しなさいッ! こんな事認めないわッ!」
他の先生を押し退けて水晶をこっちに持ってきた。
壊れるのは目に見えているのになぁ……先生というのは儲かるのだろうか?
他の先生が止めているが、ここで中止されると困るので──
「不正かどうかも判断がつかないなんて──よくそれで試験官なんて出来ますね? そういえば先生なんでしたね! いや〜尊敬しますよ! 間抜け過ぎて!」
更に煽る事にした。
青筋をぴくぴくさせながら震えている。
「不正を暴いてやるわッ! さっさとやりなさいッ!」
さっきから『魔素還元』させて体内に魔力を溜めているせいか体の中が熱い。
既に準備万端だ。
「それじゃあ、手加減無しで──」
水晶に触れ、一気に魔力を放出すると一瞬にして真っ二つになった。
「う、嘘……」
「さっきのはレラの分、そしてこれは──フィアの分だッ!」
担当の先生はその場にペタンと座りながら小声で「これ金貨10枚以上するのに……それが2個なんて……ローン地獄よ……」と呟いていた。
この水晶ってけっこう高いんだな。
気合い入れて『魔素還元』し過ぎたようで、まだ発散し切れてないな……。
そうだ、発散しよう!
それにこの際はっきり言っておこう!
「──僕の仲間に悪口言ったら必ず──後悔させるッ!」
そう言い残し、僕は2人を連れて外に出て行く──
溜まっていた魔力を一気に放出したから凄く、すっきりしたな!
ただ、皆座り込んでいたのはなんでだろ?
後、先生が白目剥いて失禁してたけど──僕も腹が立ってたしいいよね?!
なんかラノベとかでよくある、ざまぁ展開みたいになったな!
◆
ロイ君が私とレラの為に静かに怒ってくれています。
まさか、私が聖女候補を降りた事が既に周知されているとは思いもしませんでした。
ユーリも私が脱落聖女候補と聞いて「下郎がッ! 燃やしてやるッ!」と言いながら魔法を放とうして止めるのが大変です。
「フィア、ロイが私達の為に怒ってくれてるね」
「そうですね……とても嬉しいです」
きっと私とレラはロイ君がいなければ劣等感でこの場にいる事も難しかったかもしれません。
私達の代わりに怒ってくれている事に胸がギュッ、と締め付けられて熱くなります。
一つ目の水晶を魔力だけで割った姿を見て一同は唖然とします。ユーリもこの状況を見て「あり得ない……」と驚き──呟いていました。
これは──かの有名な大賢者様が作成された魔道具と聞いています。
確かにそんなに簡単に壊れる品物ではないはずですが、ロイ君の魔力量は規格外──こうなるかもしれないと、思っていましたからそこまで私は驚きませんでした。
しかもロイ君は二つ目も水晶を壊す為に先生を煽ります。
そして──
「さっきのはレラの分、そしてこれは──フィアの分だッ!」
そう言いながら二つ目も壊します。
私達の為と言葉を聞くと更に嬉しさが増します。
今私達はすっきりする以上にロイ君を熱い眼差しで見ています。
更に続けてロイ君は言います──
「──僕の仲間に悪口言ったら必ず──後悔させるッ!」
──と。
この時、ロイ君からは凄まじい『威圧』を感じました。
ロロちゃんはきっと私達と同じく『威圧耐性』があるのかもしれません。なんとかまだ立っていられましたが──ユーリ、サラさん、ユフィー様や他の方々は腰を抜かしていました。
しかもこれは普通の『威圧』スキルではありません。
お母様達が行っているのと同じで──魔力によって効果を増幅させています。
どんどんロイ君は成長していきます。
しかも『威圧』スキルなんて今まで使った事がなかったのに……まさか──
私達の為に怒った事によって習得した?
やっぱりロイ君は凄いです! 同い年で勝てる人はいないんじゃないでしょうか?
ただ、私としては──
最後の台詞は『仲間』じゃなくて、『恋人』とかの方が嬉しかったなぁ、と思ってしまいました。
残念ではありますけど、今は私達の為に行動してくれた事を感謝したいと思います。
その場を後にするロイ君を私とレラは追いかけて腕に絡みつくようにくっつきます。
そして──
「「ありがとう」」
お礼を伝えると、ロイ君は照れ臭そうにそっぽを向いていました。
ロイ君は戦闘の時も苦しい時も笑っているけど、こうやって不意打ちが成功した時だけは照れてくれるのが凄く可愛いですね♪
やはり、もう少し積極的にアプローチをした方がいいかもしれませんね。
今まで以上にアタックしましょう!
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