第12話ねんね98%

「他にはどんな『色』が見えたのじゃ?孝介よ」


 孝介がさりげなく周りを見る。『茶』と『緑』が多い。


(『茶』色は『同情』かあ…。まあ『金保留』を外すと『あちゃあ~、かわいそお~』となるよな。つーか、人の台のリーチ見んなよなあ。

『コマンド』


 『話す』


 →『気☆ガァ―ル』ちゃん


 それで『緑』はどんな感情?実は今、『緑』色が何人かから見えるんだよ)


「ほへ。『緑』かいなあ。それはあかんなー。孝介。『嘲る』ことを意味しとる」


(へ?『あざける』ってどういう意味?)


「知らんのか―――い!孝介は国語の勉強をした方がいいぞ。『嘲る』とは『小馬鹿にされてる』ってことです」


(んなろおー。人のリーチを見るだけならまだしも…、ああ、俺は『金保留』を立て続けに外したバカ野郎だよ。まあ、それで『茶』に『緑』かあ…。納得…。あ)


 ノーマルリーチで大当たり!


(よし!)


「ん?どうしたのら。さっきからよく分からんぞ」


(あ、ああ。あのね。今、『パチンコ』ってギャンブルをしてるのね。ほらほら。俺がハンドルを握ってると台の中で銀の球が出てるでしょ。そしてその球がどんどん出てるじゃないですかあー)


「!な…!こ、こ、孝介ぇ!急にそんなことを言うのはよ、よ、よくないぞ!『ちんこ』に『たまがどんどん出てる』とか言われても…。そ、そ、それは…だなあ」


 『気☆ガァ―ル』ちゃんは強引にそっちの方に話を持っていこうとしているのではない。ガチで赤面している。『気☆ガァ―ル』エンジェルはねんねである。


(あれ?『気☆ガァ―ル』ちゃん、すげえ赤面してる…。あ、の、ね、『ちんこ』じゃなく『ぱち・んこ』って言うギャンブル。これは『賞球』ね。一個四円なのね)


「な、な、なにをおおおお。知っておるわいな!『パチ・んこ』だろ!?『昇給』がどんどんのギャンブルじゃろおが!?わだすは『気☆ガァ―ル』エンジェルだぞい!」


(はいはい。あら、スーパー確変モードに入った。これって継続率98%右打ちオール2400発のスーパーモードじゃん。十連ぐらいしねえかなあ…)


 結果、孝介は35連チャン、七万発オーバーする。


 周りの人間が『黄色』、つまり『ジェラシー』の色で孝介を見る。


「孝介さん。すごいじゃないですか!」


「あ、消化も早いしいいねえ。もう終わるから」


「『出して出して出しまくり』でいいですね」


 後輩の椎名がいつもと同じ負けた時の顔で孝介の台にやって来て言う。


「な、な、なんじゃあ!あの椎名って奴も!『出して出して出しまくり』じゃとお!そ、そ、それはあ、あれだなあ…!若いうちは回復力があると聞いてるだわであり…」


 『気☆ガァ―ル』エンジェルはねんねである。そして一気に三十万円近い現金をゲットする孝介。


(あのお…。『黒』は何を意味してるのかなあ?実は今朝も『黒』が見えたんだけど)


「なにいい!『黒』だとお!孝介!それはやばいぞ!あちゃあー…やねん。『黒』は『殺意』の意味ねんよ」


(やっぱり…。でも今朝の『黒』の理由は…?)


 『パチンコ』を終わらせ、換金し、後輩の椎名君の負け分二万を奢ってあげる孝介。そして大金なので銀行のATMにお金を預ける孝介。『気☆ガァ―ル』ちゃんに聞きたいことはまだまだたくさんあった。

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