第10話『棒』や『竿』でつつき合ったり、『穴』を押し付け合って子供が出来るのか?
ジャラジャラ、テレッテテレッテ、チーン。
「えー、本日も当ホールにご来店頂きまして、まことにありがとうございます」
今日は午前中から外回りと言っておきながら孝介と椎名はパチンコ店でサボっていた。
「じゃあ僕はこっちの『うに物語』を打ちますんで」
「椎名君ってホント『うに』好きだね」
そう言って孝介が椎名とは別の台に座る。
(ほれ。『気☆ガァ―ル』ちゃん。質問タイムどうぞ)
「何を言ってる。私を呼んだのは孝介の方だろう。まあいい。『同性婚』とか『合コン』とはなんぞな?」
(『同性婚』は同じ性別同士で結婚することね。まあ今は時代もかなり個人の自由が認められるようになってね。異性ではなく同性を好きになってしまうことや同性しか好きになれない人も人間の世界ではあるのね。昔はそれを大っぴらにカミングアウトするのって大変ですごく勇気のいることだったわけ。それが今はそういう『偏見』が少なくなったってこと)
「ほへー。人間は殿方同士やおなご同士で付き合ったりその『結婚』てやつをするのか。でもそれでは『合体』はどうするのじゃ?『棒』や『竿』でつつき合ったり、『穴』を押し付け合って子供が出来るのか?あと『カミングアウト』ってなんじゃ?」
『気☆ガァ―ル』ちゃんはすごいことを言うなあと孝介は思う。
(心の中の秘密を世間や他人に告白することを『カミングアウト』って言うの)
「私の知らないことがこの人間界でも増えたのじゃのう。で、『合コン』とはなんぞな?」
孝介の台に当たりそうなリーチがかかる。
「お!こいこい!」
「恋恋!と何をいってるのだ?孝介」
(あ、それは…。まあ独り言です。で、『合コン』ね。出会いがない男女が友達の共通の友達、つまり一人の男子と一人の女子が知り合いでした。それぞれの友達は彼氏彼女がいない人ばかりでした。そこでお互いの彼氏彼女がいない友達を人数を均等に合わせてお知り合いになるきっかけを作る場のことを『合コン』と言うのですー)
熱いリーチはあっさりとハズレる。
「『金』保留で外すかあ…」
「は?『きんほりゅう』?」
(あ、独り言です…。それでこっちからも質問。そのために『気☆ガァ―ル』ちゃんを呼んだんだから)
「お、どうした?いろいろあったのかいな?『気☆ガァ―ルアイ』で」
(そう。あれって『赤』、『青』、『透明』の三種類って言ってたけど他にもいろんな『色』が見えたんだけどさあ)
「何!?孝介!それは本当ぞな!」
(え?そこって驚くところなの?いや、黄色や緑、茶色、灰色とかもあったかなあ。それにそれぞれの『色』にも薄い濃いがあるよね?)
「ほへえー。孝介。あんたってかなり『純情ロマンティックボーイ』だわさね」
(なんだよそれ。三十路のおっさんつかまえて『純情ロマンティックボーイ』って…)
「私も『気☆ガァ―ル』エンジェル歴は長い方だけど。『気☆ガァ―ルアイ』で『赤』、『青』、『透明』以外の『色』が見える人間は久方ぶりだわさ。これはびっくりだあね。心がそこそこ綺麗で純情で一途なものにはたまーにいるんだわよ。その三種類以外の『色』が見える人間ってのが。孝介。あんた掘り出し物の当たりの優良物件だわさ」
(いや…、褒められてるの?てか、なんかやたら難しい言葉もたくさん使ってるような…)
ぽかり。
「孝介!お前は『国語教師』か!んでんで。まずは『黄』色が見えたんだわさね」
ここから『気☆ガァ―ル』ちゃんの取説補習授業が始まる。ちなみにパチンコの方は回らない、当たらないですでに三千円を使ってしまっていた。
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