第3話『危☆ガァ―ルモード』と『気☆ガァ―ルアイ』

(でさあ、気☆ガァ―ルちゃんはやっぱり他の人には見えてないの?)


「そだよ」


(で、気☆ガァ―ルちゃんはそのお…、あのお…)


「なんだ?取説中なんだから何でも聞けよなあ」


(いや…、その…、気☆ガァ―ルちゃんはそのお…、哀れな俺に降りてきたエンジェル的な?)


「そだよー」


(じゃあ!お兄さんと付き合おう!突き合おう!)


「こらこら!モードチェンジ!危☆ガァ―ルモード!私と付き合う?百万年と四日早いだわさ!そもそも孝介のことを私はなぁーんにも知らないのだぞ(いや、大体知ってるけどね)!突き合うって、いや、付き合うってのはそんなに簡単なことではなかろうぞも!」


(じゃあ気☆ガァ―ルちゃんは俺のところに『何』をしに降りてきたの?)


「モードチェンジ!気☆ガァ―ルモード!まあ、見ててじれったいからかなあ。最近の人間たちは『出会い』に対して臆病すぎる。まあ見てて『じれったい』。あれだけ『両想い』確実な二人が『ふられて今の関係が微妙になったら』だとか『今のまま友達のような関係がいい』だとか『ひとりが楽』だとか。『気があるならアタックしろ!』だわさ。そ・こ・で。孝介に『気☆ガァ―ルアイ』、この場合『気☆ガァ―ル愛』でも『気☆ガァ―ルラブ』でも名前はこの際何でもいいだわさ。『気☆ガァ―ルアイ』を貸し出してやるために降りてきたのら」


(『気☆ガァ―ルアイ』?なにそれ?)


「人間には『見た目のイメージ』や『第一印象』、『それなりに人間関係を重ねたうえでその相手に対してのイメージ』がある。それを『色』で見ることが出来るのが『気☆ガァ―ルアイ』なのら。まあまあ。説明するより実際にやってみる方が早いってね。もう孝介には『気☆ガァ―ルアイ』を授与したからさあ」


(え?)


「その辺を歩いてる人とか見てごらん。すれ違う時に目が合った人とかさあ。ほらほら」


 『気☆ガァ―ル』ちゃんに言われた通りしてみる孝介。今までと明らかに視界に映る『色』が違う。人の後ろに『青色』が見える。


(あのお…)


「どうだ?」


(やたら顔の後ろに『青色』が見えるんですが…)


「そっか。『青』か。それは『ブルー』だなあ。『青』イコール『マイナスイメージを持たれている』を意味するのだわよ」


(え?)


 そんな中、すれ違った好みのタイプの女の子、眼鏡のかわいらしい童顔の子の後ろが『赤く』見えた。


(あ!今!『赤色』があった!)


「何ぃ!孝介!なにやっとるぅ!『赤』イコール『気がある』だぞ!その子はどこに行った?すぐに声を掛けるだわさ」


(え、あ、いや…、もう人ごみに紛れちゃって分からなくなっちゃって)


「もー、何をやっとるのじゃあ」


 孝介は嘘をついた。『赤色』のオーラが見えた自分に『気がある』、少なくとも外見で『いいな』と思ってくれた子が今どこにいるか分かっていた。それよりも別の考えが。


(これは…!この力があれば…!俺は『ふられ知らずのロケンロー』になれるじゃーん!)


「はあ?孝介って『ロケンロー』なの?」


 しまった。『コマンドを切ってなかった』と孝介は思った。取説は続く。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る