第2話『取説』と『鬼☆ガァ―ル』ちゃん
『気☆ガァ―ル』だかなんだかよく分からないけどいつも通り通勤する孝介。やはり周りの人間には『気☆ガァ―ル』が見えてないようである。
「まあ初日だしぃ。取説がねえとあれだからねえ。ほれ、通販で購入したけど取説が読めない言語で書かれてたら大変だろ?なので初日の今日だけは私についてこい!」
と言いながら孝介の後をついていく『気☆ガァ―ル』。
(『ついてこい!』って…。『ついてきて』んじゃん…)
ぽかっ。
「勘違いすんじゃねえ!モードチェンジ!『鬼☆ガァ―ル』モード!おらおら、孝介。あんたが私の前を勝手に歩いてんだあよ。『ついてきて』んのは孝介の方なのら。モードチェンジ!『気☆ガァ―ル』モード。まあまず基本情報その一。当然『孝介以外の人間』には私の姿は見えてない。人間は『言葉』を使いこなす生き物だからな。逆に動物には私の姿が見えてるのら。まあ、かわいいドッグちゃんキャットちゃんが無反応だと私も悲しいからねえ」
「てことは…。その声も?」
ぽかっ。
「孝介。お前は馬鹿なのか。周りの『人間』には私が見えていない。だけど孝介は普通に見られてるだろ。そんな孝介が私に声を出して質問してるとそれは『あの人くれいじー』を意味する。独り言ぶつぶつ繰り返してる『人間』に孝介は近づくのかい?私と会話したければ『心の中』で喋るのら」
(え?『心の中』で?)
「そうそう。よく聞こえるぞよ」
(ちょっと待てーい!『心の中』だと!?『心の中』ってのは大事な『聖域』であり『さんくちゅあり』なんだぞ!あ、あの人かわいいなあ、はっ!)
「孝介…。『聖域』と『さんくちゅあり』って何だ?あと…、あの女性に『興味』があるんだな?ほうほう…」
(勝手に『人の心』を見るなあ!)
「え?ダメなの?」
(当たり前だろう。『人の心の中』ってのは大事な『プライバシー』ってやつでなあ。えーと。この子のこと、なんて呼べばいいんだろ?)
「私のことは『気☆ガァ―ル』ちゃんでええよ。それで『プライバシー』ってのは分かるぞい。簡単に言って『見られたくない心の声』もあるってことだろ?」
(そそそ。そういうこと)
「よし。私とは『プライバシー大事に』モードで会話するってことでオケ?それなら私と話したい時は『心の中』で『コマンド』をイメージするのら。そこでこんな感じでだな。孝介の頭の中に送るぞー。ほい。
『コマンド』
『話す』
→『気☆ガァ―ル』ちゃん
これでどうだ。やってみそ」
(うーん。なるほど。これは分かりやすい)
「…」
(それに『気☆ガァ―ル』ちゃんも無反応だ。今の俺の心の声は聞こえていないみたいだ。ああー、焦ったあ…。俺って昼間っから『エッチで放送出来ない』ことも普通に考えちゃうからなあ…。そういうのは人に聞かれたくないし、知られたくないじゃん。ん?待てよ。『コマンド』だよね。これならどうだ。
『コマンド』
『話す(ただし、俺が意図しないことは伝わらないし、聞こえないこと)』
→『気☆ガァ―ル』ちゃん
おーい)
「どすた?」
(なるほど!)
いつも乗る電車。その電車へ乗るためにいつもの駅に向かう孝介。と『気☆ガァ―ル』ちゃん。取説は続く。
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