第4話
どっしりという表現が似合い過ぎる夫が息子に手を引かれながら二階から降りてきた。
『どっしり』とはいっても夫の場合、貫禄があってのどっしりといった感じではなく、ただ体がデカいだけの無意味などっしりだ。その意味のないどっしり感を纏って怠そうにあくびをしている。休日の夫はいつもに増して無駄にどっしりして見えるから鬱陶しい。
「え?なに、今日人鍋?食べるの面倒なのに?人鍋かぁ~」
食卓を見るなり夫はそう言い放った。
今度はお前を棍棒でどついてやろうかと言いそうになったが息子がいたからやめておいてあげた。命拾いしたな、と夫を睨む。
せっかくの団欒。せっかくの鍋。夫の言葉なんかで台無しにされてたまるものか。
夫の言葉で鍋も穴から細い蒸気をブシューブシューとさっきよりも強く噴き出しながら怒っているように見えた。気にしない気にしない。私が楽しい食卓にしてあげるからね、と勝手に同志になったかのように鍋に寄り添い呟く。
「さあ!ご飯にしましょう。席について!!」
妻の張りのある声で予定より遅れて団欒は始まった。
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